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ふにやんま ー 世界の小所低所からー

http://funiyanma.hatenablog.com/  

『虚人魁人-国際暗黒プロデューサーの自伝-』康芳夫

読書 スポーツ

『虚人魁人-国際暗黒プロデューサーの自伝-』康芳夫(2005)

虚人魁人康芳夫 国際暗黒プロデューサーの自伝

虚人魁人康芳夫 国際暗黒プロデューサーの自伝

 

前々回に紹介した『虚人のすすめ』ですが、本書と内容が丸被りでした。内容的には本書『虚人魁人』『虚人のすすめ』を完全にincluse(包含)する形ですので、本書を読めば『虚人のすすめ』を読む必要は殆どありません。申し訳ございませんでした。

ただし私のような極度のもの好きは、その限りにあらずで。

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康氏の経歴その他は過去エントリと重複しますので省きますが、本書の「推し」はなんと言っても 、

人食いトラ対極真空手

虎と空手武道家の死闘ショー 

の件(くだり)。聞いただけで顔をしかめるかたもあろうかと思いますが、この話チョー面白い上に、「虚人のすすめ」では完全にカットされていました。10年の歳月が、こういった荒唐無稽の、いささか道義的に疑問符が付くようなアイデアへの許容度を変えてしまったのではないか。。。あらためて本書を推薦する所以であります。キリッ。嘘っぽいな。「ただの面白がりでは疑惑」浮上。

真面目な話、野生動物は強いらしいです。 かの大山倍達氏が著書の中でそう述べておられました。もう持ってませんが、たしかこの本です。よく覚えているでしょう? 

大山空手もし戦わば (1979年)

大山空手もし戦わば (1979年)

 

大山倍達氏曰く。記憶から引用。間違ってたらどなたか教えてくださいね。覚えてないじゃん。

野生動物は強い。命懸けの局面では、その強さは更に倍化される。密室の家屋の中なら、人間は日本刀を持ってやっと野生の犬と互角だろう。

鶏や猫も、決して侮ることなかれとまで説く大山氏。すごいよゴッドハンド!そんなことまで考えていたのか! この事実を十分に頭に入れてから考えてみてくださいね。

素手で虎と闘う

無茶です。かの "牛殺し” 大山氏でも、絶対に選ばなかったであろう対戦相手。それを真剣に実現にこぎつけようとした康芳夫氏。ダメだ面白すぎるっ。メートル(死語)上がりまくりっ!

国士舘大学 空手部師範(当時)山元 守氏

「康先生、私はどんなものが相手でも、空手で倒す自信がありますよ。康先生が準備してくれたらトラとだって闘ってもいい。絶対、一撃で殺してみせます」。

うわーっ。こいつマス大山の本読んでないのかよ。まして相手は康芳夫氏。死亡フラグ立てて一人でビーチフラッグやるようなもんじゃん。絶対長生きしないぞっ。

この発言、実は国士舘大学空手部の忘年会で交わされたもの。この時のエピソードがまた秀逸。ちなみに康氏は山元氏に興味があっただけで、国士舘大学とも空手部とも全く関係がなく、客として招待された身であります。

私が忘年会の会場に出向くと、両側にいかにも狂暴そうな顔と体格をした連中が二〇人ずつまっ黒の詰襟を着て整列している。その間を歩くと「オッス!」といっせいにドスのきいた声が響きわたる。私が中央の上座に座ると、その後しばらくして山元師範が入ってきた。

すると、何と彼はその両側に並んだ連中たちをボカボカと本気で殴りながら入ってくるのだ。

殴られた部員たちは血を流しながら必死で体勢を立て直し、顔を正面に向け「オッス!」と大声で答える。両サイドにいる約四〇人の頭や顔を本気でぶん殴り、山元守は私の横にどっかと座ったのだ。

しかもその後「何故殴ったのか」の説明なし。 腹痛い。

康氏の “受け” もまた凄いです。

私も山元をにらみかえし、じっと彼の眼を見ながらこう言った。「本当か。そうか、よし、やろう。これは命がけの世紀の対戦だ。君が素手でトラと闘うなら三〇〇〇万円出そう。ただし、いっさいのインチキはなしだ。武器は何も持たず、素手で闘うのが条件だ。トラも本物で何も細工しない。死んでも補償はしないがいいか」。

当時の三〇〇〇万円はいまの一億五〇〇〇万円以上の価値があるだろう。彼が本気ならそれぐらいやってもいい。私は迷わず彼に提示した。 

いや迷えよ。 ギャラの問題じゃないし。

世の中的に、こういったキワモノ企画への受容性がまだまだあったんですね。

案の定、この計画を大々的に記者発表したとたん、日本では東映がドキュメンタリー映画として制作したい、と申し入れてきた。 

大ヒット映画「地上最強の空手」公開が1975年、このトラの話が1977年ですから、東映が食いついてきたのも分かります。ちなみに山元師範、大山倍達氏の直弟子、それも高弟だったそうで。

見かけ倒しだったら、トラを見て逃げ出してしまうかもしれない。私はそのあたりを極真会館総裁の大山倍達に、直接電話で聞いた。すると彼は私に「山元は強い。ホントに強い。もし俺が彼とやったら俺が負けるかもしれんよ」

続いて同じように彼の実力を危惧して、稽古合宿に同伴した東映のプロデューサーからの電話。

「康さん、びっくりしました。やつはすごい、すごいですよ。やっぱり本物ですよ。練習であの獰猛なドーベルマンをたったの一撃で殺しちゃったんですよ。一発、眉間に拳を入れたら、ドーベルマンがぎゃふんと跳ねあがって 白目をむいてしまった。これはいけますよ」

今なら「ドーベルマンが可哀想」の大合唱で、稽古自体が即刻中止でしょう。

何はともあれ、実力はお墨付きの空手家ということで、本格的に動き出す康氏。

NBCがさっそくTV衛星による全世界への放映権を申し込んできていた。(中略)いまなら約七五億円ほどという巨額の放映料だ。 

「おいしいとこだけ、さらえばいいじゃん」「主催じゃないから責任ないし」何を期待しているのかモロ分かりのオファー。これが興行の世界と言えばそれまでですが。

これだけ危険が予想される試合?になると、当然問題が浮上します。

◉開催の許可を出してくれる国が無い

これは当時、世界中でブームとなって支部を拡大していた極真会館の全面協力で解決されます。すごいぞ極真!一枚岩だ!(現状への皮肉ではありません)

でですね、ここからが目茶目茶に面白いのですが、さすがにネタバレなので詳細は控えます。ノンフィクションにネタバレがあるのか?という高尚な議論になりそうですが(ならんって)、ヘッダーだけ引用しますので流れを想像してみてください。

特注フェンスのリング

山元の頬が引きつる

トラの爪は出刃包丁

 ブリジッド・バルドーの介入

 結論:虎すげー

装丁の写真から既に「只者ではない」感を漂わせる、かの康芳夫氏も霞む 虎の凄さ

やはりゴッドハンド・大山倍達氏の言われる事に間違いはないのでした。

「野生動物をね、侮ってはいかんよキミぃ」

以上 ふにやんま

『1984年のUWF』柳澤健 第22回「リアルファイト」

スポーツ 読書

『1984年のUWF柳澤健  第22回「リアルファイト」 

今号はUWFと袂を分かって後の佐山「修斗の回です。

修斗って、今盛んなのでしょうか?全然関心が無いので、見当もつきません。

アマチュアの大会は北海道から沖縄まで全国各地で開催され、毎年50人ほどがプロに昇格している。世界各国への普及も進み、現在では20以上の国と地域で公式戦で行われている。

そうなんだー。競技人口とかどのくらいで、果たして増えているのかな? 修斗がルール上、多大な影響を与えたUFC、ひいてはMMAという流れの中での貢献は認めるものの、リアル格闘技としての魅力においてはイマイチだったんでしょう?

初期のUFCについて。

広く普及させるためには、スポーツとして確立された総合格闘技に生まれ変わることが必要だった。

その際に参考にしたのが修斗である。

オープンフィンガーグローブを着用し、5分3ラウンドという試合時間も、体重別の階級も、すべて修斗を模倣した。 

スポーツとして生まれ変わった結果、UFCは大ブレークを果たし、修斗よりも遥かに大きなプロモーションとなったのは皮肉だが。

 冒頭のこの一文で、今回は内容的には完結しております。あとは面白いネタが特には盛り込まれておらず、1回休み状態なのが惜しいところ。

現在でも、修斗のジムには佐山聡が書いた「修斗の理念」が掲げられている。 

そうか、なんか追放みたいな形で報道されていたけど、佐山は「修斗創始者」として認められているんだ、良かった良かった。とか、

先生の言い回しは独特の感性があって難しい。一見、理論的なようで実は抽象的。でも、先生が技の見本を見せると、やっぱり凄い。しかも、見た瞬間にパッとできちゃう。知らない技でも、ああ、こういうシステムねと一瞬で理解する。ホントの天才っているんだな、と思いました。 

 (初代シューターにして元ライト級王者、坂本一弘氏による佐山評)

弟子の発言とは言え、やっぱり見る人が見ても佐山は天才なんだ!とか、佐山ファンとしては 正月のお酒も旨くならずにいられませんわ 的な発見や再確認は所々に見られるものの、です。

そうそう、さもありなん、という価値ある証言が一つありました。

そんな佐山のところに、新生UWFからのオファーがあった、と証言するのは前述の坂本一弘である。(中略)

UWFから連絡があった。佐山さんに戻ってきてほしい、また一緒にやりましょうと言われた。だけど、俺は絶対にやらないから』

佐山先生ははっきりと言いました。いま思えば『俺はシューティングをやる!』という意思表示でしょうね。

理想主義者で、決めたことは徹底的にやり抜かないと気が済まない。己の信念を現実化することに、金銭以上の意義を見出すタイプの佐山としては(個人的には何も知らんくせに、力強く言い切る私)当然の帰結でしょう。

ワンサイドで裏の取れていない証言ではありますが、新生UWFがその人気絶頂期に、おそらく苦境に喘いでいると世間から思われていたであろう佐山に声をかけたというのは、如何にもありそうな話。

しかしこの時期の新生UWF「エースは前田」で決まっていました。実力的に双璧をなすのが藤原喜明で、この二人が頭ひとつ抜けた存在、という序列がファンの間の暗黙の了解でしたから、佐山をどういったポジションに置くつもりだったのか、興味のあるところです。

「前田最強」を裏付ける為の噛ませ犬 として、スポット参戦させるのが狙いだったのか?

前田と藤原の対戦は極端に少なく、 UWF日本人選手内の実力№1は誰なのか?を知りたいという、ファンの期待に応える材料は極端に不足していました。日本人同士の刺激的なカードが組みたかったのか?ついそういった邪推をしてしまいます。

そういえば前田と藤原の数少ないシングル対決(タッグなんて無いか)は、いつも藤原の関節で紙一重で決まるという、なかなか苦しいシナリオでしたね。前田ファンにしてみれば「あー惜しかった。もう一歩のところまで追い込んだのに」「やっぱり関節はすげーな」と思って会場を後にする。まあUWFサイドの思惑どおりと言うことかと。

なんかこの回以降、佐山はもう出てこないことになるのかなー。それはそれで寂しい。

 UWFの物語、果たしてどこまでいって完結するつもりなのか。インター鈴木取締役の1億円トーナメント事件とか、前田と安生の舌戦とか、なんだか下卑た方向に厚めに行かないといいけどな、とやや懸念。

以上 ふにやんま

『虚人のすすめ-無秩序(カオス)を生き抜け-』 康 芳夫

読書

『虚人のすすめ-無秩序(カオス)を生き抜け-』 康 芳夫(2009)

世のなかには変わった人がいるもんだなと。失礼ながら動物園かお化け屋敷か。怖いもの見たさが止められず。魑魅魍魎が跋扈する興行の世界。辣腕の「呼び屋」として鳴らしてきた康 芳夫(こう よしお)氏。 ちなみに氏の容貌も「異形」と称する他ない迫力ですが、それは置きまして。本書の著者紹介から。

東京大学卒業。イベントプロデューサー。在学中から大物ジャズプレーヤーの呼び屋として活躍。モハメド・アリ招聘からネッシーオリバー君など珍奇でセンセーショナルなイベントを仕掛け世を騒がしてきた鬼才である。また、出版では戦後最大の奇書『家畜人ヤプー』をプロデュース。

これだけでも怪しさ満点ですが、アラビア大魔法団」「インディ500マイルレース」「トム・ジョーンズ等の興行開催に加え、モハメド・アリの場合はボクシングの試合だけでなく、後の猪木vsアリ戦でもアリとの個人的なパイプを買われて招聘アドバイザーを務めています。

さらに驚くべきことには、ウガンダのあのアミン大統領と猪木の対戦、しかもレフリーはモハメド・アリという世界が震撼するようなカード(って言うのかな?)を合意・契約・記者会見までこぎつけた男。

冗談みたいな話ですが、この対戦、ウガンダのクーデターが無かったら本当に実現していたはず。アメリカの三大ネットワーク局であるNBCと生中継の契約を締結。東京12チャンネルとは仮契約までいったと本書にあります。猪木もアリも記者会見まで行っていますので、事実無根という事はないでしょう。あなおそろしや。さすが自称

全地球を睥睨するスフィンクス

各イベントにまつわる業界の裏話だけで十分に楽しめますが、これだけの怪人(ショッカーかっ)になると、言葉の端々に光るものがあります。

私の見立てでは、思想家や哲学者になる人間は資質的にたいがいベタな現実感覚や実践力を持ちえないという弱さをカバーするために、ロマンと観念で世界をとらえる術をこの世をしのいでいく至高の武器として仕立てたような人が多いのだ。 

しかし観念だけで世界を作っていくと、そこはある面、壮大なほど滑稽な錯覚が生じる。ドイツ観念主義やそこから派生したマルクス主義のみじめな敗退はそのことを雄弁に物語っている。  

言葉というのは容易に詐術がはかれる格好の道具である。何不自由なく育った裕福なお坊ちゃん先生が安全地帯にいながら、あたかも地獄を経験してきたかのような辛辣な思想を語れてしまう。

前後の文脈が無いので誤解されそうですが、筆者のスタンスはいわゆる反知性主義とはちょっと違います。下の一文が筆者の趣旨をよく表しているかと。

現代人の脆さや虚弱さは、「知本位制」の社会によって我々の存在の成り立ちが知識人のそれのように抽象化してきたことにもよっていること。

要はその自覚が必要だと。知性と深い洞察力を備えたかただと感心させられました。本書の中ではあまり注目されない部分かとは思いますが。

「ボリショイサーカス」「謎の類人猿オリバー君」「ネッシー探検隊」(なんと石原慎太郎隊長)など、ルーツはここにあったのか!という興行の戦後史のような本書。

筆者が怒らせた力道山が、カウンターの上のビール瓶の口を手刀で(いわゆる空手チョップです)叩き割ったり、アリ招聘の為にイスラム教に入信(筆者はその為だけではないとして、ムスリムとしての純粋な信仰心についても語っていますが)したりと、破天荒そのものの一冊。あの梶原一騎氏をすら上回る波乱万丈ぶりに、目が回ります。

宮殿の大統領執務室で会ったアミンは私がこれまで会ったことのない人間であった。人の形をしながらその中に入っているのは何か得体の知れないものなのだ。まるで魔界の住人のようなオーラを巨体から不気味に漂わせている。ブラック・ヒトラー」と称されるカリスマ性がどこから来るものなのか、私はそれなりに納得がいった。

怪人を上回ったのか!魔人。魔人サイドの感想も聞いてみたいところですが。ちなみにこのくだりの続きは、気の弱い方は飛ばされたほうがいいです。念のため。

虚人はタブーを打ち破ってこそ虚人なのだ。毒は虚人にとって甘い蜜であり強烈な陶酔をもたらす麻薬なのだ。 

断崖を野原のように歩く。

クラクラするような一冊のご紹介でした。

なお筆者は79歳で、メルマガもブログも現役のようです。

以上 ふにやんま

ふにやんまRecommended リーガルのレインブーツ

ファッション

実際に買ったのはブラックですが。 

最近買って良かったものの筆頭。

サラリーマン諸兄ならお分かり頂けると思うのですが、雨の日に履いて行く靴って悩みませんか?

雨の日は革靴が3倍痛む

というので、手持ちから一番ボロいのを履いて行くのが習慣だったのですが、男性用のレインブーツを買って正解でした。こりゃいいわ。

実はレインブーツと知らずにセールで買ったんですね。

確かにリーガルのウインクチップのブーツにしては、えらい安いなとは思ったんですよ。サイズもS/M/L と妙に大雑把でしたし。でも、メンズのこのようなレインブーツが世の中にあるということすら知らなかったのですね。

女性だと人気のレインブーツってあるじゃないですか。通勤の時だけ履いて、オフィスで履き替えるみたいな。ガーデニングにもピッタリみたいな。こんなの。 

商品が届いて履いてみて、初めて気づいたんですよ。あれ?なんか変だなと。

見た目は本革にしか見えないんですけど、 やけに軽くて柔らかい。型番を検索したら、出ましたね レインブーツって。

あちゃー失敗したかな?と思ったら、これが当たりでした。

【いいところ】

◎雨の日って意外と多いので、履く機会が思ったより多かった。お得。

◎サイドファスナーで脱ぎ履きが楽

ー忘年会シーズン、大事なところ。うーん、サラリーマンぽいなあ。

磨かなくていい

ー泥跳ねしても拭くだけでOK

◎靴底の滑らない仕様が強烈

晴れた日にも履ける

ー繰り返しますが、パッと見では絶対に塩ビとは分かりません。Amazonでは扱いが無いですが、このモデルにはド派手なカラーも設定されていまして、要はスニーカー的に履いてくれてもgoodって事だと思います。

◎靴底の滑らない仕様が強烈

アスファルトを歩くと、慣れないうちは路面をグリップし過ぎて引っかかるほど。そのぐらい滑りません。職場はカーペットなので幸い問題なし。

ベロに厚みがあって足当たりがいい。特に足首周り。

ー本革のブーツだと段々と足に馴染んでいくものですが、それが期待出来ない為か全体に柔らかい。買ってすぐに楽に歩けます。

このウイングチップのモデルってどうも廃盤くさいのですが、後継モデルがあると思いますし、そもそもリーガルでなくても良いものがありそう。

ウイングチップのレインブーツ

というのが意外と重宝だというお話でした。冬場は暖かいし。

そうそう、このモデル、カタログサイズがめっちゃ小さめに書いてあるので、ネットでの購入は要注意です。

普段27.5から28.5㎝くらいを履いている私ですが、Lサイズでかなり余裕あり。ブーツなので多少大きくても問題ないのですが、あまりに大き目だと、おそらく足首周りが遊んで不愉快だと思います。

以上  ふにやんま

『これが「買い」だ-私のキュレーション術-』成毛眞

読書 デジタルライフ 人生観

『これが「買い」だ-私のキュレーション術-』成毛眞(2016)

これが「買い」だ:私のキュレーション術

これが「買い」だ:私のキュレーション術

 

アイコンからさえも、僕って賢いでしょう的なスノッブな自意識が滲み出てしまう成毛眞。かのナンシー関女史が存命だったら、どんな消しゴム版画を作ったことかという突っこみ易さはありますが、書くものは面白いので、基本買いです。

本書は「キュレーション術」などと今風なタイトルで、成毛氏のキャリアとあわせてIT系の本だと誤認させられないかという商売っ気に溢れていますが、『週刊新潮』連載時のタイトルは逆張りの思考」。まあ、氏の思うところ、よろずよもやま話を集めた一冊です。それこそがキュレーションじゃん!とか強弁されると苦しいですが。手ごわいな、IT用語。まあ、自己啓発ライフハックの本だと思って買わないようにご注意ください。

人間に「順張りタイプ」と「逆張りタイプ」があるとすれば、私は明らかに後者である。

私は35歳からおよそ10年間、マイクロソフトの社長を務めた。そして、2000年に社長を辞した理由の一つは、「誰もが大声で『IT』と叫び出したこと」だった。時はITバブル絶頂期。

自分のアマノジャクぶりを、何故ここまで肯定的に喧伝するのかよく分かりませんが。僕って面白いでしょう?普通じゃないでしょう?みたいな。子どもかっ!しょっぱな(これ、序文です)からトバす成毛氏。

◇アップル最大の発明とは

◇ドローンの次のかたちを

◇本棚とスマホは脳を映す

といった、成毛氏ならではの有益なコラムも多く、内容的には十分楽しめます。

反対に

◇費用対効果の高い接待をする

◇パーティをやるなら伝説をつくる

といった脱力系のなんじゃそりゃコラムもありますが。

接待されたほうは普通「楽しかった」って言うよ!大人だし!

それって評価が主観的過ぎるだろ!

等、突っ込みに大忙し。ビジネスの世界では、こういう自己肯定感の強い人が成功するんだよなあと再認識。

◇天ぷらを愛している!

そもそも、スシはいいネタが手に入れば、家庭でも模倣できる。真似できないのは、赤身のヅケ、白身の昆布締め、アワビの酒蒸しといった「仕事」をしたネタなどで、後はそこそこプロの味に近付けることができるのではないか。

その一方で、素人の努力では、店で出される味に遙か遠く及ばない食べ物がある。天ぷらだ。

この人はあまり食を語らない方がいいのでは?と思いましたが、別のコラムでこの一文を発見。

魚介は火を通した方が断然旨いと信じているため、生魚がつきものの和食より、フレンチやイタリアンを選ぶことが多いが、 

生魚が苦手なだけじゃん。

天ぷらが美味しいのは否定しませんけどね。

ゴルフ談義。孫正義氏の自宅地下に設けられたプライベート練習場が凄い。

天井の高い、ちょっとしたパーティができそうな広い部屋の正面には、巨大スクリーンが設置されていて、オーガスタなどのバーチャルなゴルフコースが映しだされている。スクリーンに向かってクラブを振ると、ボールがぐんぐんと飛んでいく映像が出る。ボールの止まった位置によってはッ床も前後左右に傾く。(中略)

地下室にもかかわらずパラパラと雨が降り出し、風まで吹き始めた。なんと、悪天候を再現する仕掛けまで整っているのだ。

これが15年前の話です。今はどこまで進化しているのか?孫’S練習場。聞くのが怖い。

茶化しとサイドエピソードに終始してしまいましたが、プロの書評家でもある成毛氏の書くものにはさすがにハズレがない。ビジネスパーソンにはやっぱりお勧めできる一冊だったりする訳です。第5章 ビジネスヒントはここにある などは、氏の関心領域の広さと着想に唸らされますね。やはり大したものなのでした。

好きだからこそ茶化しちゃったりしちゃう。これはやはりアマノジャクと言うのでしょうか。

以上 ふにやんま

『1984年のUWF』柳澤健 第21回「クリス・ドールマン」

スポーツ 読書

 『1984年のUWF柳澤健  第21回「クリス・ドールマン

クリス・ドールマンまで来てしまいましたか。言わずと知れた前田日明の盟友。彼の存在がなければ後年の "オランダ・ルート" もなく、『リングス』は誕生しなかったはず。

先走りは置いときまして、大阪球場に2万3千人を集めた1989年のドールマン戦。ちなみに私もこの2万3千人の中に含まれております。懐かしいのう(お爺さん口調)

今号の白眉は

◉『水かけザムライ』 こと松浪健四郎氏のドンデモ発言

前田日明ゆるゆるボディの秘密

の2本でございまーす。サザエさん風。

松浪氏については、30年前の発言をどうこう言うのも気がひけますが、本人ももう覚えていないでしょうから構わないでしょう。

前田たちUWFのレスラーに本物志向があり、他の格闘技に学ぶ姿勢を持っていることは評価できる。ただし、現状ではレスリングについては、構えひとつを見てもからきしなっていない。

前田とニールセンの試合もリングサイドで見たが、前田はイチからレスリングを勉強したほうがいいと思った。猪木も同様。そのことを口に出せないアマチュアレスリング出身者の谷津嘉章ジャンボ鶴田長州力の腹の中は、大変なものがあるに違いない。

 ねーよ。

アマレスの全日本3位ぐらいで、プロレス語ってんじゃねーぞ!と、血気盛んな当時の私だったら激怒していたはずですが、今なら笑みを湛えて松浪氏のコメントを楽しむことが出来ます。歳月は人を大人にし、プロレスは少年を男にする。しないか。

もう耳タコの話なので控えますが、「プロフェッショナル・レスリング」は「プロ化したアマチュア・レスリング」じゃないので。あしからず。新生UWFの団体キャラ的に、アマレス経験者の松浪氏にコメントを求めに行ったのは分かりますが、ズレズレな発言連発で大変楽しい。誰か教えてやってほしかった。

プロレスっていうのは、強いレスラーよりも客が呼べるレスラーが偉い世界なの。

今では松浪氏も理解してるかなー。たとえば全盛期のカレリンがプロレスに参戦、来日しましたと。前田の引退試合云々はこの際抜きで。最初は死ぬほど客が詰めかけるけど、まあ半年でサヨナラでしょう。いくら「カレリンズ・リフト」で相手をブン投げても、面白くもない試合にファンはやがて見向きもしなくなるはず。強けりゃいいってもんじゃない。怪獣は1回見れば十分です。

オクタゴンにカタルシスを求める精神構造って、日本人には基本的に無いので。「日本人」が言い過ぎならば訂正します。少なくとも私には無い。

「ソープ・オペラ」と称されるアメプロ(アメリカのプロレス)よりも、ガチのMMA系ってはるかに野蛮だと思うんですよ。あれは趣味悪いわ。以上私見。全部私見だけど。

次。前田日明の身体が新生UWFでどんどん緩んで、ポヨンポヨンになっていった件。これは認めます。批判されて然るべきだし、オンタイムで試合を見ていた私も嫌でしたもん。

レスラーの身体って、説得力を失っちゃいけない。トップの前田自ら、プヨプヨに腹をたるませていたら「格闘技」もへったくれもないでしょう。実戦向きかどうかなんてファンにはどうでもよくて、身体が厳しく鍛えられて、シェイプされている(ように見える)こと。これはUWFのレスラーにとって最低条件だったはず。この時期の前田の心身の緩みが、後の船木の過剰な肉体改造の遠因となったと見ますがどうでしょう。

だが、前田はあまりにも多忙であり、道場にいることはほとんどなかった。

今やタレント並みのハードスケジュール(といっても、試合の前後一週間、そして毎日の練習時間は外しているそうだが)

テレビ局からも引っ張りだこで「わくわく動物ランド」「おいでやす」「バトルトーク」と3日連続でテレビ収録を行ったこともあった。

まさに時代の寵児。 「笑っていいいとも」で前田を観て驚いたり、街に前田がおんぶ紐で赤ちゃんをしょっているポスターが溢れたり(何のポスターか思い出せず・・・)したのはこの時期でしたね。私も前田の自伝とか、この時期に読みましたもん。 

パワー・オブ・ドリーム (角川文庫)

パワー・オブ・ドリーム (角川文庫)

 

で、こうなる訳です。

すでに前田日明の練習不足は誰の目にも明らかだった。胸も腹も腿もゆるみ、もはやドン・ナカヤ・ニールセン戦の時のような精悍さはどこにもなかった。

うん、よくぞ書いてくれた柳澤氏。これは絶対に誰かが記録として残しておくべき一文。高く評価したい。

前田って基本的に太りやすい体質だと思うんですよね。佐山ほどじゃないですが。若手時代にウエイトが上がらず、非常に苦しんだという高田なんかは逆に太りにくい体質のはず。総統ゆるんでなかったし。

皮肉なもので、新生UWFの人気に火が点いてから、前田のファイトに後世に語り継がれるようなものが無くなってしまったのは、ここに原因があると睨んでいます。

スピード、スタミナ、瞬発力など、UWFのファイトスタイルに求められる要素をトップの前田が維持できなくなっていく。必然的に対戦相手に色々と妥協を要求せざるを得なくなる。この大阪球場からUWFに参戦した船木も、「この時期の前田さんは、試合中や試合後に、いろんな事を指示してくるのでうっとおしかった。(プロレス的な指示の)意味が分からなかったし」と語っていましたから。

夢と希望を抱いて参戦してきた船木と鈴木、そしてベテラン藤原喜明

急にメンバーが充実したUWFが、実は内部崩壊の予兆を抱え始めていたことが伺えるという点で、貴重な今回の前田の身体論でした。

ここから切ない話になっていく気がするなー。

 以上 ふにやんま

『代償』伊岡 瞬

読書

『代償』伊岡 瞬(2014)  

代償 (角川文庫)

代償 (角川文庫)

 

 

平凡な家庭の小学生、圭輔は、ある事故をきっかけに遠縁の同級生・達也と暮らすことになり、一転不幸な境遇に陥る。寿人という友人を得て苦境を脱し、長じて弁護士となった圭輔に、収監された達也から弁護依頼が舞い込んだ。"私は無実の罪で逮捕されました。どうか、お願いです。かつての友情に免じて、私の弁護士をしていただけないでしょうか"。裁判を弄ぶ達也、追い詰められた圭輔。事件を調べ始めた寿人は、証言の意外な綻びを見つけ、巧妙に仕組まれた罠がときほどいてゆくがー。

2時間ちょっとで読み終わりましたが、疲れている時や落ち込んでいる時には、手を出さない方が無難かも。敵役 安藤達也がキャラ立ち過ぎで、冷酷とか狡猾とか邪悪とか、そういったありふれた表現が生ぬるく感じる程の存在感です。このやろ❎3。

ざっくり言うと、両親を火事で失って、遠縁のどうしようもない家庭(一人息子が安藤達也)に預けられるのが第一部。成年後、弁護士になってから、かつての性根の腐れきった幼馴染 安藤達也に弁護を頼まれるのが第二部です。

良心がぶっ壊れているくせに、自分の手は決して汚さない。他人の心を見透かして、マインドコントロールすることにかけては天賦の才を発揮する。人間の悪意を結晶化したような男、安藤達也。それに輪をかけて腐りきった母親、道子。

嫌ミス系に免疫のないかたには、とてもお勧め出来ないレベルです。

◉主人公 奥山圭輔のキャラが弱い

◉圭輔が弁護を引き受ける動機が不明瞭

◉第二部後半の進行があまりにご都合主義的

といった欠点はありますが、安藤達也のゲスっぷりを堪能するだけでも、存分に楽しめるので総合評価は良しとしましょう。この手のジャンルは、

こんな奴、ホントにおったらたまらんな

と読者に思わせれば、半ば作者の勝ちみたいなものですから。

 

黒い家 (角川ホラー文庫)

黒い家 (角川ホラー文庫)

 

第二部の公判中、展開が二転三転するところなどは、貴志祐介『黒い家』並みのゾワゾワ感があります。

粘着質のサイコパスとでも言いましょうか。そこまでして、人を陥れたいんか!と突っ込みたくなるような、剥き出し見え見えの悪意。

いや〜上手い。悪人が描けるということは、人間が描けるということと同じなんですよね。伊岡氏の著作は初めてですが、これから他の作品を読むのが楽しみです。

余談ですが、これほどアタマがまわる安藤達也が、実社会ではその天分?を全く活かせていないところがいい。悪事にしかその能力を発揮出来ない方が、キャラクター設定としてリアリティがあります。これ、映像化したら面白いのに.....

アワビの肝とか、サザエの尻尾のグルグルした部分(これも肝か)と同じように、お好きな方にしかお勧め出来ない大人の味。

苦いのひとつ、如何ですか?

以上  ふにやんま