読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

ふにやんま ー 世界の小所低所からー

http://funiyanma.hatenablog.com/  

セブン銀行のビジネスモデルを考える

セブン銀行は他行からのATM代行手数料を収益の柱にした、独自のビジネスモデルである。

このスキームを支える仕組みを考えてみる。

f:id:funiyanma:20150502172548p:plain 

1、自行口座を便利にしない。口座開設に努力しない。

他行からのATM代行手数料を収入の根幹とする以上、セブン銀行にとって自行の口座開設者が増えることは、マイナスにしかならない。

とは言うものの銀行業を名乗る以上、「口座開設お断り」を謳う訳にはいかない。

いかないので仕方なく、セブン銀行は普段使いにはすこーし不便にしてある。

セブン銀行は便利でお得」となってしまうと、結果的に手数料収入は減るし、他行からも目を付けられてややこしくなる、という話ではないかと。

何しろ預金保有額が増えても、ちっとも嬉しくない銀行なので。

 ①通帳は発行せずにカードONLY

 通帳が無い=「出納の記録が出来ない、えっ!」

口座開設を検討する利用者にとって、これは結構な障壁になるはず。自営業のかたの場合など、通帳での出納履歴は不可欠ではないか。

インターネットバンクで過去履歴が全て遡れるように作ってあります、という事は絶対に無いだろう。データ量が膨大過ぎて対応出来ないはず。

 加えて口座開設の申し込み自体が、ネット経由でないと出来ないので、高齢者などはうまく排除された格好になっているのもポイント。

 結局、ネットが使える若い人なら、欲しい客層の来店動機にもなるし、まあ口座ぐらいは作らしてあげましょうか、という事ではないかと。

②自行のATM引き出し手数料の、無料時間を拡大しない

利用者からのATM手数料を無料にして、他行からの代行手数料を徴収する。不動産で言う「片手手数料」をベースに、利用を伸ばしてきたセブン銀行にしては、自行のATM手数料の設定は、決して魅力的ではない。

預金引き出しが無料なのは、平日の朝7時から夜19時までと、拍子抜けするほど、至って普通。

ATM引き出し手数料が無料になるのはわずか12時間。24時間営業のセブンイレブンの銀行としては、違和感があり過ぎやしませんか。

③ATMで振り込みをさせない

 セブン銀行はATMでの現金振り込みに、一切対応していない。

リアル店舗を持たない(正確に言うと登記上は全国7店舗)セブン銀行では、実質的にはインターネットバンクでしか、振り込みは出来ないと言ってるのと同じ。

自行のATMが町中に溢れているのに、振り込みが出来ない銀行の口座を、誰が開設するか!となるのが普通。

 

2、預金はなくてもキャッシュは豊富

ATMの現金補充の詳細は、防犯面の配慮からかあまりオープンにならないので、推測だと断っておく。

 効率から考えれば当然、ATMごとにオンラインで残高が管理されていて、残高が設定ラインを下回れば、ルートを組んで補充しに行くと考えていいだろう。

セブン銀行に話を戻すと、全国18,000店弱の店舗にあまねく置かれたATMを満たすだけのキャッシュがどこにあるのか、という疑問に突き当たる。

引き出し限度額が漸減傾向にあるのは確かだが、それでもATM1台に対し、いくら何でも最低200万円程度は入ってないとまずいはず。

 クレーン強盗なんてのもあるぐらいだから、実際はもっと入っているかもしれないが、一旦200万円としよう。

セブン銀行は18,000店×200万円=360億円のキャッシュを常備しておかなければならないのだが、今のような超低金利時代ならともかく、セブン銀行設立時には、有利子負債での調達は極力回避したかったはず。

 では、キャッシュはどこにあるのか?

あるのだ。国内CVS最高日販を誇る、セブンイレブン店舗の売上が。

セブンイレブンの平均日販が、今のところ70万円弱。

これに18,000店舗を掛ければ126億円。

セブンイレブン関係者に聞いた訳ではないが、一日の売上は自店のATMを使って、日々本部に収めるように、決まっているはず ⬇︎

※ 公にされていないので苦労したが、 ようやくブログで確認できたのがこちら。

元セブンイレブン店長の『コンビニは毎日がミラクル!』 : セブンイレブンのATMあるある

◯ATMの残高が毎日ゼロになるわけではない

 ◯仮にも銀行なので、預金残高は4,800億円を保有している。

勿論運用分があるので、全額がフリーのキャッシュであるはずはないが、預金残高の1割を回転させれば、お釣りがくる勘定なのだ。

資金は潤沢とは言え、ATMに回すキャッシュの物量は極力押さえたい。

冒頭に触れたキャッシュの補充コストは、ATM主体セブン銀行にすれば、おそらくビジネスモデルの生命線。

運用益は殆ど期待していないと思われるセブン銀行だが、他行がATMの維持コストを嫌い、都市部や駅ナカ以外から 続々と撤収している事実からも、補充コストを中心にした維持費負担の重さが分かると思う。  

以上2点を踏まえれば、必要最低限と思われる360億円の3分の1でも、如何に大きいかが理解出来るだろう。

そもそも120億円という規模のキャッシュが、1年365日動くのは、国内最大の小売業セブンイレブンならではの離れ業。本決算の純利益が、120億円に毛が生えた程度の一部上場企業など、いくらでもある。

 余談になるのだが、セブンアンドアイ・ホールディングスに関わる全ての非正規雇用者は、おそらく給与支払いの為という名目での、セブン銀行口座の開設は求められていないはず。

短期的にはコストカットになるのだが、したたかなセブンのこと、長期的にはマイナスになることを選ぶとは思えない。   

追記:続きもあり。

funiyanma.hatenablog.com 

                                                                   以上   ふにやんま