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ふにやんま ー 世界の小所低所からー

http://funiyanma.hatenablog.com/  

NFL ボール不正疑惑を考える

スポーツ

2014-15年シーズン、アメリカン・カンファレンスおよびスーパーボウル覇者、

ニューイングランド・ペイトリオッツのボール不正疑惑で全米が揺れている。

「ファミリーで安心して楽しめるスポーツ」として、クリーン且つフェアな

イメージを大事にしてきたNFLも、久々の大掛かりな不正に対応に大わらわ、

といったところか。

ただでさえ、最近も選手の殺人やDVがマスコミを賑わしたばかりで、

NFLには世間の厳しい目が注がれている中、この醜聞は大きい。

何しろ全米はおろか世界最大のスポーツイベント、スーパーボウル

チャンピオン・チームが、不正で勝ち上がってきた、という

前代未聞のスキャンダルだ。

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事実関係を整理しておくと、NFLでは対戦する両チームは各々が

12個のボールを用意して、自チームのオフェンスの際に使用する。

当然、試合前にサイズ・空気圧といった規定項目を第三者がチェックして、

厳重に試合開始まで管理、というルールが定められている。

 QBにとっては、パッシングの際のボールの感触は命だから、

各チームはエースQBの好みにあわせ、ボール表面の皮革を必死で調整する。

ザラザラ、ツルツル、ドライ、ウエット、といったように。

これはルール違反でも何でもない。全チームがやっていることだ。

 

しかし、今回の疑惑が非常に「クロ」臭いのは、

ペイトリオッツ側の用意した12個のうち、11個が規定の空気圧を下回っていた。

 ー何故全部ではなく、11個なのか?

     キッカーは、圧の低いボールなんて蹴れたもんじゃないと抗議するだろう。

     FG用のボールとして、規定の空気圧を満たしたものを1個用意していた

     可能性が高いと見る。

     要は、周到に準備された組織的な不正である疑いが強いということ。

・14年11月のレギュラーシーズンのコルツ戦で、コルツ側から既に

「ボールの空気圧が低い」という指摘があり、それが今回の不正発覚の

  契機になった。

ー寒冷地のニューイングランドを本拠地とするペイトリオッツは、

  極寒の中でのゲームが多く、対策としてボールの圧を下げるのが

  習慣化していたという嫌疑がかけられ易い。

ー加えて、ペイトリオッツは2008年にもジェッツ戦でシグナルサイン盗みの

  スパイ行為で罰金を課されたり、歴史的に疑惑の多いチームで今回の制裁で

  実に3回目となる。

  これはNFL全チームの中で最多であり、「やりかねないチーム」という色眼鏡で

  見られても仕方の無いチームであることは否定できまい。

・不正発覚後、ブレイディから不用意な発言があった。

ー「一旦ゲームが始まってしまえば、プレーに集中して、ボールの空気圧

     なんかに気づく余裕はないよ」

     現役最高クラスのQBであり、「殿堂入り特急券を握りしめた男」と

     言われるトム・ブレイディが、ボールの空気圧の変化に気づかない?

     今世紀最大のアメリカン・ジョーク?

     これをニュースで見たNFLのQBは、全員口の中のマッシュポテトを

     噴き出したと思う。

     明らかにこの発現は不用意だし、稚拙だった。

     「わずかな違いでもすぐ分かる。あの日のゲームでのボールに、

      違和感は無かった」と言ったほうが、まだリアリティがあったのに。

 

ペイトリオッツに対するNFLの制裁は、過去になく厳しいものになった。

・不正を知っていたと見られるQBブレイディに15年9月の開幕戦から

  4試合の出場停止。

・チームには史上最高額と並ぶ100万ドルの罰金と、ドラフト会議の16年1位

  及び17年4位指名権 剥奪。

 

アメリカでは神格化されたスーパーボウルの、チャンピオンチームと

そのMVPが、レギュラーシーズンだけでなく、よりによってプレーオフ

しかもカンファレンス決勝という、究極の大舞台で不正を行ったという事実が、

スーパーボウルの権威を著しく損なった、という点に尽きるだろう。

スポットCMが30秒で450万ドルと言われるスーパーボウルは、商業的な

価値も計り知れない。

そのスーパーボウルのイメージダウンに対し、厳罰で処する以外に

選択肢は無かったということだろう。

 

5/7時点で、ブレイディはこの不正疑惑によってタイトルの価値が

損なわれることはないと主張しているが、それはファンが決めること。

敗れたコルツファンにしてみれば、憤懣やるかたないとはこのことだろう。

ブレイディは異議申し立ての意志も示しているようだが、状況証拠はかなり不利。

むしろ今後はNFLを代表する智将、ペイトリオッツのベリチックHCの

関与の有無に関心は移っていくはず。

既にペイトリオッツは、「いかなる処分も受け入れる」と殊勝なコメントを

出しているが、叩けばいろんな埃が出てくるので、このへんで手打ちにして

欲しい、という意思表示では?と勘ぐってしまう。

 

ブレイディと同じく殿堂入り鉄板と言われるペイトン・マニングは、

極寒・雪中でのゲームに備え、氷入りのバケツに素手を浸してから、

パスを投げる練習を取り入れていると聞き、そのプロ意識に感嘆したものだ。

しかし今や、デンバーだから、マニングだから不正はしていないと、

100% 言い切れる状況ではなくなってしまった。

NFL全てのチームと、全QBの信用を貶めた今回の不正疑惑、

やはり相当罪深いと言わざるを得ない。

あのブレイディをもってしても、誘惑に負けてしまうほど、

スーパーボウルのロンバルディ・トロフィーは魅力的だという事は

再認識出来たけれど。

                                                                                 以上  ふにやんま