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ふにやんま ー 世界の小所低所からー

http://funiyanma.hatenablog.com/  

脳、この不可思議なもの

読書 映画

脳科学、精神分析といった分野には興味を惹かれる。

自然科学の中でも、大宇宙に劣らぬレベルの未知が、自分の頭蓋骨の中に収まっている事が、面白くて仕方がない。

脳といい意識といい、何と不可思議なものが人間には宿っていることか。

以下、専門書のように難解ではなく、脳の不思議に触れられる作品を紹介。

 

『妻を帽子とまちがえた男』1985年

妻を帽子とまちがえた男 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

妻を帽子とまちがえた男 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

 

これは必読の面白さ(症例集に対し、面白いとは不謹慎だ、とか違う位相の価値観を持ち込まないで欲しい)

「相貌失認」と呼ばれる症例では、相手の顔を認識できないという事以外に、機能的に何ら異常のない音楽教師が登場する。

彼は相手の声により、誰が喋っているのかは認識出来るのだが、パーキングメーターや消火栓、ドアノブを人間の顔と誤認して、ポンと叩いたり、話しかけたりする。

そして表題にあるように、妻の頭を帽子と間違えて、持ち上げて被ろうとするのだ。

彼の眼には、人間の頭がどう映っているのか?脳の中で何が起きているのか?興味は尽きない。

この本を読んでから、『レナードの朝』を読み、更には映画を観てもらうと、より理解が深まると思う。

(時間軸では逆になるのだが)

作者自身による、デ・ニーロの迫真の演技への評価も、非常に興味深い。

 

ノンフィクションレナードの朝』 1973年 

レナードの朝 〔新版〕 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

レナードの朝 〔新版〕 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

 

 映画『レナードの朝』 1990年

 

そしてフィクションとしては抜群の面白さの、

アルジャーノンに花束を』 1959年

ダニエル・キイス氏はつい最近、2014年まで存命だったことに少し驚く。

これは文句なしの名作。もはや古典の域か。

知能の向上と同時進行する、モノローグの口調の変化が、この小説の評価に大きく関わっているはずなのだが、なにしろ翻訳だと把握できない。原文で読めない事が至極残念。

最近TVドラマになっていたが、デ・ニーロの「レナード」を観たら、当然無視するしかない。すまん山下智久(顔も知らんけど)。

 

 夜と霧の隅で』1960年

夜と霧の隅で

夜と霧の隅で

 

ヴィクトール・E・フランクル夜と霧』1946年を知らない人はいないだろうから、日本の作品を。

代表作に挙げられるが、実は数少ない北杜夫氏の精神疾患もの。

ナチに対抗し、「電パチ」「ロボトミー」といった、非人道的且つ効果の上がらない治療手段に頼らざるを得なかった、往時の医療従事者の苦悩を描いた佳作。

 

カッコーの巣の上で』1975年 

カッコーの巣の上で [DVD]

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40年前だから、つい最近と言えば最近の、精神病棟の実態を描く。

ちなみに原題の「Cuckoo's Nest」 は、精神病院の蔑称。

看護婦長のルイーズ・フレッチャーがトラウマになりそうなぐらい怖い。

 

時計じかけのオレンジ』1972年 

時計じかけのオレンジ [DVD]

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なんでこの映画が?と思われるかもしれないが、思い出してほしい。

主人公アレックスが受けた「ルドヴィコ療法」、あれは人格改造の条件付け施術では? 他にもアレックスがロボトミー手術をほのめかす発言をしたりと、脳科学、脳医学が「カッコーの巣の上で」同様、当時のトレンドだった事が伺える。

                        以上 ふにやんま