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ふにやんま ー 世界の小所低所からー

http://funiyanma.hatenablog.com/  

海堂尊『バチスタ』で止めちゃ勿体ない!

海堂尊? ああ、『チーム・バチスタ』の人ね。あれは面白かったわ」

というかたは多いと思います。

今回は東城大学病院から始まった「チーム・バチスタ」の世界、

東海地方の架空の都市、東城大学が居を構える桜宮市を舞台にした

「桜宮サーガ」は、広がり続けているというお話です。

 

海堂尊氏は、チーム・バチスタの栄光で、2005年に

第4回「このミステリーがすごい」大賞を受賞。

このデビューは鮮烈でした。

現役の、医学博士号取得者の書いた医療ミステリー。

バチスタ手術という、心臓手術の専門的な施術法を世に知らしめたのは

この作品ですし、「田口公平」「白鳥圭輔」の大人気キャラクターも、

既にこの受賞作からコンビを結成しています。

私は海堂尊氏の最高傑作は、未だにこの『バチスタ』だと思っていますし、

累計300万部以上という、医療ミステリーとしては異例のベストセラーと

なったのも、高い評価の裏付けでしょう。

 

ただですね、このシリーズ、『バチスタ』だけ読んで終わっているかたが

多いのではないかと、私、少々疑っております。

 

それは勿体ない!勿体なさすぎます!

 

チーム・バチスタの栄光』を面白いと思われたかたは、

なんとかあと2冊、

ナイチンゲールの沈黙』2006年 

ナイチンゲールの沈黙

ナイチンゲールの沈黙

 

 ジェネラル・ルージュの凱旋2007年 

(私の中では、本作海堂作品のベスト2

ジェネラル・ルージュの凱旋

ジェネラル・ルージュの凱旋

 

 を加えた3冊までは、是非読了して頂きたい。

それで「面白くない」とおっしゃるなら、私もスッパリあきらめましょう。

この話、なかった事にして頂いて構いません。

 

ナイチンゲールの沈黙』は小児科、『ジェネラル・ルージュの凱旋』は

救命救急センターが舞台です。

あまりの大作になるので、元々一つの作品になるはずだった2作を、

分割したというルーツ故、時間軸ではこの2作、ほぼ同時進行です。

基本的には「昼行燈」田口医師と、「火喰い鳥」白鳥圭輔の掛け合いが

ウリのシリーズですが、この3作までで「桜宮サーガ」の主要な登場人物が、

ほぼ出揃うんですね。

 

・高階権太(東城大学医学部付属病院長)

・藤原真琴(不定愁訴外来 看護師)

・島津吾郎(放射線助教授)

・速水晃一(救命救急センター部長。「ジェネラル・ルージュ」)

・花房美和(  同   看護師長)

・姫宮香織(白鳥圭輔の唯一の部下)

 

といった、愛すべき面々です。

 

中でも読者・患者いずれの立場からしても、「ジェネラル・ルージュ」

こと速水晃一医師は、非常に魅力的です。 

ただでさえ常識人キャラが少ない「桜宮サーガ」の中でも、極めつけの

ド変人ですが、作者の考える「医療の良心」が、最も色濃く投影された

キャラクターが速水晃一なのでしょう。

TVドラマ版「チーム・バチスタ2」では、ジェネラル・ルージュ役を

西島秀俊が主役級で演じていましたので、ご記憶にあるかたも多いのでは。

ロリポップキャンディーをいつも口に咥えていた、あの男です。

 

作者の思い入れも深いのか、速水医師が東城大学病院を追われてすぐに、

彼をメインキャストの一角に据えた、北海道が舞台の「極北シリーズ」

が始まっています。

 

大きくは「田口・白鳥シリーズ」「ブラック・ペアンシリーズ」

「極北編」「碧翠院 桜宮病院編」の4つに分けられる「桜宮サーガ」

ですが、もはや文章では理解しづらい規模に話が広がっているので、

熱心なファンのかたの力をお借りすることにします。

 

①登場人物一覧表

出所:kaidotakerufan.blog24.fc2.com

 

②登場人物相関図 

美術史が好き!:ジェネラル・ルージュの伝説 海堂尊ワールドのすべて

出所:美術史が好き!

 

難を挙げるとすれば、著作が進むのに連れて、海堂氏の推奨する

「Ai(Autopsy imaging、死亡時画像時診断)」の必要性が作中で

繰り返し訴えられるだけでなく、シナリオにも影響してくるのが、

エンターテイメントとしては納得がいかないという点でしょうか。

 

作者には 、「海堂尊」名でのAi関連の著作も数冊あります。

(本名で出版された、Aiテーマの医学書もあるそうです)

死因不明社会―Aiが拓く新しい医療 (ブルーバックス)

死因不明社会―Aiが拓く新しい医療 (ブルーバックス)

 

現職から考えても、あらゆる機会を捉えてAiをアピールしたいという

気持ちは分からないでもないのですが、「固執し過ぎ」の誹りは免れないかと。

フィクションとしての面白さを壊すまでには至っていないのですが、

ストーリーの中に作者のリアルでの主張が透けて見えると、鼻白む思いがします。

 

ここで好みが別れるのかな、とも思いますが、作中の人物の発言に

リアリティに増している、というプラス面があるのも事実ですので。

(実際、Ai 推進反対派の教授と、最高裁棄却まで名誉棄損で争っています)

 

是非ご自分で、「桜宮サーガ」お試し頂きたいと。

チーム・バチスタ』で止まっているかた、たっぷり堪能出来ますよ。

                     以上 ふにやんま