ふにやんま ー 世界の小所低所からー

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飴村 行 『粘膜』シリーズの奇妙な味

奇妙な味の小説というのがありますよね。人によって好みが大きく分かれる。好きか嫌いかいずれかしかない、みたいな。

先日も読みかけの本をたまたまベッドに置きっ放しにしていたら、家人が勝手に読んで、

何あれ!あんなのどこが面白いの!

と呆れられました。

面白いじゃないですか、大石 圭

『アンダー・ユア・ベッド』なんて、なかなか描けない傑作だと思うんですが、如何でしょう?女性に受けないのは、何となく分かりますが・・・。

アンダー・ユア・ベッド (角川ホラー文庫)

アンダー・ユア・ベッド (角川ホラー文庫)

 

  

『姉飼』遠藤 徹 

『夜市』恒川 光太郎  

等も、好き嫌いがはっきり分かれそうです。 いずれもレベルの高いモダンホラーで、とても感心した作品なのですが。

姉飼

姉飼

 

 

夜市 (角川ホラー文庫)

夜市 (角川ホラー文庫)

 

 

この手の本は、同好の士だとあらかじめ分かっていないと軽々に薦めにくいもので。

本が好きと言っても、活字が印刷してあれば何でも本ですからねー。

変わり者だと思われて終わり、みたいな大暴投は避けたいものです。

 

さて、ここまで投げ出さずに読み通して頂いたかたなら大丈夫でしょう。

お薦めしましょう!

奇妙な味 濃厚な4部作、

『粘膜シリーズ』 飴村 行 

 

 『粘膜人間』(第15回日本ホラー大賞長編賞受賞)

粘膜人間 (角川ホラー文庫)

粘膜人間 (角川ホラー文庫)

 

 『粘膜蜥蜴』  

粘膜蜥蜴 (角川ホラー文庫)

粘膜蜥蜴 (角川ホラー文庫)

 

 『粘膜戦士』 

粘膜戦士 (角川ホラー文庫)

粘膜戦士 (角川ホラー文庫)

 

 『粘膜兄弟』 

粘膜兄弟 (角川ホラー文庫)

粘膜兄弟 (角川ホラー文庫)

 

角川ホラー文庫というレーベル、ちょっとおどろおどろし過ぎて損している表紙と、取っつきにくい要素が揃った粘膜シリーズですが、この手が好きな方なら唸らされること必定の怪作です。

4冊いずれも、話が直接的に繋がっている訳ではありませんので、ランダムに読もうと思えば十分読めます。

ですが、前作と時代や設定を同じくしている巻がある為、出来るだけ出版順で読み進めて頂いたほうが、話に入り易いでしょう。

中でも『粘膜蜥蜴』と『粘膜戦士』は、同じ世界、同じ時代のパラレルな物語として読めるので、順番を逆にしないほうが確実にスムーズかと。

4部作の中で、お勧めを挙げるとすれば、シリーズ2作目にあたる『粘膜蜥蜴』がダントツの出来です。

シリーズ1作目の『粘膜人間』は、作者自身も迷いがあると言うか、自分は何を書いているんだろう?という手探りな部分を感じるのですが、2作目からは完全にふっ切れています。

グロテスクな描写が多いと言えば多いのですが、変な明るさが漂い始め、所々で笑えるんですよね。

詳細には触れませんが、雪麻呂お坊ちゃまへの富蔵の応援歌、でんでん太皷音頭で大笑いしたかたは、間違いなく私の同志です。

3作目の『粘膜戦士』の冒頭、「鉄血」まで続くハイスパート感は絶対に癖になるでしょう『粘膜蜥蜴』のラストは、ちょっとステレオタイプですが)。

『粘膜兄弟』まで、一気読み必至です。

乱歩が好きな若いかたなどには、もってこいかと。

 

今の技術ならば、実写での映画化も十分可能でしょう。とても面白い映画になると思うのですが、残念ながら商業ベースから相当外れた、カルト的な映画にせざるを得ないかと。

技術的な問題は抜きにして「ちょっと映像化しにくいな」と識者に眉をひそめさせるような作品こそ、活字エンターテイメントの真骨頂だと思うのですが。

段々とまた賛同が得られにくそうな話に戻っているので、今日はこのぐらいで。

                  以上 ふにやんま