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ふにやんま ー 世界の小所低所からー

http://funiyanma.hatenablog.com/  

ブックオフとPOSレジ

ビジネス

ブックオフの創業者は、今や「俺の株式会社」社長として語られることのほうが多くなった坂本孝氏です。

「俺のフレンチ」「俺のイタリアン」等、持ち前の商才を相変わらず発揮されていますが、ブックオフのビジネスモデルの独創性については、それを上回る評価がなされて然るべきだと思っています。

古書業界における、ブックオフの革新性は広く知られるところですね。

◯査定基準の標準化、簡素化

本の中身の目利きを無くし、本の状態に評価基準を集約。

新しい(発刊から日が浅い)

状態が良い

この2点が基準ですから、新人のバイト君でも迷うことがない。

ただ多少はマシな価格(失礼)で買ってくれるコミックだけは別ですね。連載が終わった途端の買い取り価格の急落には驚くほど。さすが原価商売。主力のコミックだけは市場価値に非常に敏感です。

◯販売開始から時間経過にあわせて段階的に値段を下げ、回転率アップを図る

これが一物二価、三価を生む要因なのですが、ブックオフはお構いなし。ワカチコです。これを利用して値札の貼り替えを繰り返していたサラリーマンが、数年前に捕まって新聞ネタになりましたが、大多数の人はそんなことはしないので。

◯100円均一コーナーを設け、宝探し的な来店動機を誘発

中身価値の評価をしないので、ブックオフの活字本には希少なものが埋もれている可能性があります。バイト君で回している郊外のブックオフでは、平日の昼間から背取り行為に没頭している若者がたまにいますが、一応稼ぎになるのでしよう。

周知の内容なので革新性はこれぐらいに。

 

ブックオフのビジネスモデルで最大のツボは、私見ですが

『POSレジを使っていないこと』ではないかと。

注)POSレジという言葉、一般的でないので補足します。荒っぽく言いますとスーパーで使っているような、商品のバーコードをスキャンするのがPOSレジ、かたやダイソーのように商品の単価だけ打ち込む清算機が電子レジ。

 小売業がPOSレジを導入しないメリットも、無くはないです。

・JANコード毎のマスター管理が生じないので、本部業務が簡素化できる。

店舗でのレジ処理が容易。

売価だけ打てば良い。スキャンが不要。

・ハードとしてのレジ調達コストが抑えられる。

ブックオフの場合は機能的に即POSレジとして使えるハードを入れているので、コストダウンは無いに等しいと思いますが。

こんなところでしょうか。

ダイソーのように仕入れ ⇒ 売り切りを基本とした小売モデルの場合、そもそも定番・補充の概念がありません。こうした企業ならば、POSレジを使わないことが当然の選択になると思います。

ですが「いつ、何が、どれだけ売れたか」が分からないのは小売業にとって望ましい姿ではありません。

タイムリーに売れ筋を把握して、引きのある商品の品揃えを強化する。この商品政策の基本が迅速に取れない事は、ハンデ以外の何物でもないのです。

ブックオフの場合、本来ならばアイテム毎の買取価格と店頭での訴求指示をタイムリーに店舗へ発信して、売上増を図りたいところです。

競合の激化により、ブックオフも人気コミックの買取価格アップを打ち出している事からも分かるように、小売業における「売れ筋・死に筋」の把握は、出来るに越した事はないのです。

草創期ならいざ知らず、今のブックオフの企業規模ならば、そのぐらいのシステム投資は十分可能な範囲でしょう。既に実質的にはPOSレジが店舗に導入されています。人気コミックを持参すれば、買い取り価格を調べるのに店員さんが本をスキャンするのを見ることが出来ます。

では何故、古書にPOSレジを使わない状態を続けるのか。

ここからは完全に推測です。

レジでは本に貼られた値札の単価を打ち込むだけ。即ち「何が売れたか把握できない」という事が、ブックオフにとって実はメリットだとしたらどうでしょうか。

創業期、既に将来的な「古書 著作権料の支払い義務」が法改定議論の俎上に乗る可能性を見越し、回避する為のものだったとしたら?

後付けでブックオフが気付いた可能性も否定できませんが、POSデータが無いと著作毎の販売数は分かりません。POSレジを使わなければ、コミック・書籍類の著作権料は算出出来ないのです。

ブックオフ知財の理念には賛同するが、実務面でクリア出来ないので支払いは無理。仕方がないことだから許してね、というスタンスを取ることが出来ますし実際に取っています。

「当社のシステムを見て頂ければお分かりのように、うちは古書については何がどれだけ売れたかは全く分かりません。従って残念ながら著作権料の公正な支払いは出来ませんよ」

「時間の経過や本の状態にあわせて、同じ本でも店内で値段が違うことは当たり前です。JANコードと単価が一致しないのだから、そもそもスキャンすること自体がナンセンスですよね?」

うん、完璧。こと著作権に関する限り、周到に出来たビジネスモデルです。

 

両論併記の意味合いで、ブックオフを擁護しておきます。実は好きなんですよブックオフ

・古物には著作権は生じない、とする法的見解が現状では一般的。

・古書の著作権料を一括で支払う、という意向をブックオフが全く持っていない訳ではない (下記ブログ参照)

blogs.yahoo.co.jp

ブックオフにも理が無い訳ではない、というのは念押ししておきます。

ブックオフ、無くならないで欲しいな。作家の皆さんはどう思ってらっしゃるか分かりませんが、

 【この項のお勧め本】 

俺のイタリアン、俺のフレンチ―ぶっちぎりで勝つ競争優位性のつくり方

俺のイタリアン、俺のフレンチ―ぶっちぎりで勝つ競争優位性のつくり方

 

                                                                                  以上   ふにやんま