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ふにやんま ー 世界の小所低所からー

http://funiyanma.hatenablog.com/  

チェッカーズ 青春の蹉跌

若いかたには思いっきりピンとこない話をします。

福岡県久留米市から生まれたアイドルバンド、チェッカーズ今から30年ほど前、天下を取っていました。

日本で今一番人気のあるタレントは?

そんなアンケートがあれば、1位は間違いなくチェッカーズという時期があったのです。アイドル、ミュージシャン、芸能人、どの部門でも圧勝の勢いでした。

 

彼らは一時期、本当に時代の主役を張っていました。

若者達がこぞって真似をした、斬新なステージ衣装にヘアスタイル。

共感を呼んだ、メンバーのサクセスストーリー。国鉄職員を辞してメジャーデビューを果たした藤井フミヤ(解散迄は郁弥)氏の経歴は、好感度を高めました。

当時最高のヒットメーカー、売野・芹澤コンビによる楽曲の提供。

まさに「社会現象」と呼ぶにふさわしい時代の申し子。音楽業界のブロックバスターでした。

 

チェッカーズ高杢禎彦  2003年   

チェッカーズ

チェッカーズ

 

サイドボーカルの高杢氏が、自らの闘病を前半で、バンド結成から解散、本書出版に至るまでの20年間の経緯を後半で綴っています。

メインボーカルで人気、楽曲共に中心メンバーだった藤井フミヤ氏との間に少しずつ生まれる亀裂。その亀裂が取り返しの付かない確執に変わっていく様子が、金銭面の争いも含めて後半では赤裸々に描かれています。

その為、出版当初から「チェッカーズ暴露本」として騒がれ、今もどちらかというと否定的な評価が拭えていません。

◯ファンにとっては知りたくない内容。

◯仲間割れの一方的な解説を、今更聞いたところで仕方がない。

そんなところでしょうか。


続けて声を上げるメンバーが無く、反論すべき立場の藤井フミヤ氏が終始沈黙を貫いたことも、高杢氏には不利に働きました。

自ずとメンバーが二分されたことで、高杢氏が全くの出鱈目を並べたり孤立している訳ではないことは何となく伝わりましたが。

 

ただですね、文章は正直上手いとは言えないものの、高杢藤井フミヤ両氏の中傷合戦(そういった事実は一切無いのですが)といった先入観を捨てて読むと、この本かなり面白いのです。

高校を出てから、会社や大学を飛び出した二十歳前の若者達が、バンドとして一気にスターダムを駆け上がる。

憧れのロンドンやリバプールで写真集を撮影し、映画の主演やバラエティのレギュラー出演まで果たす。

芸能界の頂点までの疾走感と、彼らの味わった達成感が伝わってきます。

最後はメンバー同士の感情的な対立による解散という、バンドとして最大の蹉跌。

 

青春の光と影を描いたドキュメンタリーとして読めば、胸が締め付けられるような内容なのです。人生では誰しも味わう明暗だと、一言で片づけるには厳し過ぎるコントラスト。

正しく導いてくれる、分別ある大人に彼らがめぐり逢えてさえいれば。

早咲きが過ぎた若者達の悲哀を、私も理解できる歳になったということでしょう。

 

チェッカーズのメンバー達も、今や50歳を過ぎました。

残念なことに、全員が揃った形でのバンド復活はもはや成し得なくなってしまいました。余計なお節介かも知れませんが、メンバーにはそのことも再考して欲しいなと。

もはや仲介のしようもない程、互いにこじれ切った関係のようですが。

若さ故だったかもしれない軋轢や感情のもつれを、死ぬまで引きずって生きるのか。それぞれに人生経験を重ねた大人として、今一度話し合うことが出来るのか。

 

チェッカーズに自分の10代を重ねたおじさんとしては、彼らのバンドとしての年譜の中に、これから「和解」が加わればいいなと心から願っています。

                              以上     ふにやんま