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ふにやんま ー 世界の小所低所からー

http://funiyanma.hatenablog.com/  

『石の裏にも三年~キミコのダンゴ虫的日常~』 北大路公子

『石の裏にも三年~キミコのダンゴ虫的日常~』 北大路公子(2015) 

石の裏にも三年 キミコのダンゴ虫的日常 (集英社文庫)

石の裏にも三年 キミコのダンゴ虫的日常 (集英社文庫)

 

大好きな北大路公子氏の待望の新刊ですので、紹介にも気合が入ります。過去の投稿をリライトして、前回アップし直しちゃいました。

本書は文庫オリジナル作品とのこと。電子書籍版もあるのですが、家族全員が北大路ファンの我が家では皆が楽しみにしており、回し読むには紙のほうが便利なので普通に文庫本を買いました。

 ちなみに「小説すばる」初出時のタイトルが、

『日記を書くためだけに生まれてきた』

ブログを書かれるかたには、実にうらやましい話ではないですか?しかもその日記が目茶目茶おもしろいんですよ!

面倒くさいので普段はこんなことはしないのですが、ブログでの紹介用に「特に面白いところだけ厳選して付箋を付けよう」と思い立ち、やってみたらこんな感じです ↓  

f:id:funiyanma:20151206132018p:plain

もう付箋だらけ。全然厳選じゃないというか、厳選すること自体が無理でした。面白いところが多すぎますもん。

仕方がないので、こうします。拙文をお読み頂いて、本書をお買い求め頂いたとするじゃないですか。既に見た文章がアタマから頻出したらそのかたに申し訳ないので、巻末のほうから抜粋します。

十一月一日

 遂にきてしまった。1年でもっとも嫌いな十一月が。なにしろ気温はどんどん下がり、日はどんどん短くなり、雪が降ったりとけたり積もったりまたとけたりを繰り返しながら、最終的には確実に物みな凍る冬に突入するというね。もう絶望、絶望するしかない月なのですよ、十一月というのは。昔、「十一月とチーズとトマトとみのもんたとキティが嫌い」と原稿に書いたら「触れると火傷しそうなものが二つあります」と言われたことがあるけれども、まあその話は今はいいけれども、訴えたいのはその十一月の辛気臭さに比べての六月の素晴らしさ!明るく美しく花みな開く北国の六月!あちこちで言っていることですが、私が独裁者になった暁には十一月を廃止して六月を二回設置します!十一月さえなければ真冬はあってもいいのか、大嫌いな雪かきはどうするのか、という問題に関しましては、「独裁者は自分で雪かきしない」をもって回答としたいと思います!

八月十日

 知り合いからとうきびを貰う。美味しい茹で方を求めてネットで検索。今まで何百回ととうきびを茹でてきたにもかかわらず、そして毎回それなりに美味しく茹で上がるにもかかわらず、それでもこの世のどこかに唯一無二の「完璧な茹で」があるのではないかの思いが捨てきれない。この求道者的に厳しい姿勢をなぜ人生全般にいかせないのか。

いけませんいけません。再読していてあまりに面白かったので、一日分を全文引用してしまいました。「節度ある引用」を心がけねば。

 七月二十六日

 午後の気温十九度。夕方のニュースでは「日本列島は北海道を除く各地で猛烈な暑さ」と言っていたはずが、それから数時間後の夜のニュースでは「全国的に猛烈な暑さ」に変わっている。つまり夕方の時点ではかろうじて「日本列島」に含まれていた十九度の北海道が、夜には「全国」枠から外されてしまったわけで、おそらくは夕方から夜にかけてのどこかの時点で、正式に日本から脱退したのだろう。沖縄の台風八号を我がことのように受け止めたのに残念です。日本の皆様、長い間ありがとうございました。さようなら。

すいません、またやってしまいました。これはもう、文章をカットしながらの抜粋は無理ですね。日記一日分が全体で完成された文章になっているので、省略できる部分が見当たらないです。

 

とにかくこの調子で、日記が1年分とちょい続いていきます。結構な日数ですが、少しも飽きさせず、頻繁に声を出して笑ってしまうこと請け合いです。

上に引用した文章でも、唐突に「独裁者」とか「脱退」とか出てくる訳ではありません。実は前のほうの日記からの流れを受けての展開ですので、アタマから読んでこそ、面白さが100%理解できるんですね。

なので是非是非お買い求めのうえ、本のアタマから楽しんで頂きたいと思います。

「コープさんの半袖」とか好きなテーマでしたね。

以上 ふにやんま