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ふにやんま ー 世界の小所低所からー

http://funiyanma.hatenablog.com/  

昭和プロレス本よ永遠なれ!

 『最狂 超プロレスファン烈伝』徳光康之(1999-)1-4巻

この連載が始まった時の、プロレスファンの反応は凄かった。

「仲間だ!」「俺たちよりも熱い!」

「細かすぎてわかんねー!」

「でも笑える!」

プロレスファンを初めて主役にした漫画に熱狂。

後楽園ホール階段の落書きネタなど、地方のプロレスファンには眩しかった(遠い目)

後年、後楽園ホールで初めて実物を見た時には、思わず足を止めて感慨に耽ったもの。

週刊プロレスで何度も見た写真はこれかと。

その時 後楽園ホールに行ったのは笑点』の公開録画を見に行くためだったという大人の事情は置いといて。

この漫画で上京を決めた若者は、決して少なくないはず。 

 

そして全4巻で完結したと思いきや、昨年10月に帰ってきた

『最狂 超プロレスファン烈伝4.5』徳光康之(2015)

230ページのボリュームに15年前と変らぬテンション!

懐かしかった。そして面白かった!5巻が待ち遠しいぜ!

 

 

プロレススーパースター列伝原田久仁信,梶原一騎,高森敦子

(1980-83)全17巻

プロレススーパースター列伝1

プロレススーパースター列伝1

 

徳光氏『最狂 超プロレスファン烈伝』タイトルのオマージュ元。

メジャー誌『少年サンデー』連載ということで、この中で知名度は一番高いはず。

梶原一騎が現在進行形でプロレスシーンに絡むと、こんなに面白くなるのかという記念碑的作品。 とにかく各レスラーのエピソードが破天荒で面白過ぎ。

作中のアントニオ猪木(当時新日本プロレス社長)の独白が、あまりに梶原節全開で猪木らしさを微塵も感じさせないという点も含めて、なんとか後年に残したい、埋もれさせたくない作品。

個人的にはブッチャー編の変なカラテ修行と、当時の興奮をそのまま伝えるタイガーマスクがイチ推し。グレート・カブキ編も怪しさ満点で良かった。

 

 

 アントニオ猪木 最後の真実』板坂剛(1985) 

アントニオ猪木・最後の真実

アントニオ猪木・最後の真実

 

 85年猪木vsブロディ戦のカミソリ流血シーンを中心に、板坂氏が猪木への熱い思いをぶちまけた、奇書中の奇書。

噂の真相巻頭のグラビア記事に端を発し、単行本化に至ったはず。

 当時プロレス界初の暴露本であり、同年の

『ケーフウェイ』佐山聡(1985)同様、マスコミには黙殺されてしまったが、プロレスファンの間では「読んだか?」「読んだ!」といった会話が繰り返された。

ケーフェイ (Nayuta books)

ケーフェイ (Nayuta books)

 

 

 

いわゆるプロレス界の「暴露本」が市民権?を得たのは、

『流血の魔術 最強の演技ミスター高橋(2001)

流血の魔術最強の演技―すべてのプロレスはショーである

流血の魔術最強の演技―すべてのプロレスはショーである

 

の功績が大きい。

それまでは外国人レスラーの素行など、エンタメ路線の本を出していたミスター高橋氏による暴露本ということで、まさにセンセーショナルだった。団体内、しかも現場最前線のレフリーの本ということで、業界関係者のコメントも軒並み歯切れが悪かったのを覚えている。

 

 『倒産!FMW カリスマ・インディー・プロレスはこうして壊滅した』

荒井昌一(2002)

倒産!FMW―カリスマ・インディー・プロレスはこうして潰滅した

倒産!FMW―カリスマ・インディー・プロレスはこうして潰滅した

 

自死されたFMW元社長、荒井昌一氏の遺稿。

自らのお人好しぶりと、大仁田厚の横暴を誰も止められなかった様子が、荒井氏によって自嘲気味に語られていて、読むのが結構辛い本。

最後には個人として3,000万円以上の借金を団体の為に積み重ねた荒井社長。

膨らむ団体の借金と、その返済に追われて精神状態が段々おかしくなっていく様子は、赤裸々過ぎて息苦しくなるほど。家族の崩壊、両親の自己破産。

借金取りに言われるまま、カードで買った高級時計を即換金に行かされて「金利」をたっぷり抜かれた現金を渡される。

「あーこれで、今日の返済からはとりあえず逃れられる。心の底からありがとうございます、という気持ちだった」

絶句。

そもそもタニマチ慣れした力士集団が興したのが、日本のプロレス界。

日本プロレス時代から続く、レスラーの金銭感覚の無さは当然と言えば当然。

「体を張ってるレスラーが一番偉いんじゃ」

そう口にするだけならいいのだが、レスラーには売掛金・買掛金といった概念が無いから、事務所にある現金は平気で鷲掴みにして持ち去ってしまう。

プロレス好きが嵩じてFMWに就職し、リングアナウンサーから社長に担ぎ上げられた荒井昌一氏の最期の無念は如何ばかりだったか。同情を禁じ得ない。

荒井さん、あなたは堅気に生きるべき人でした。

 

 

井上義啓 元「週刊ファイト」編集長のことも、「活字プロレス」の始祖として埋もれさせたくない。

《 I 編集長》と呼ばれ、活躍の場は当然ながら自身編集の週刊誌だったが、単行本も良い内容のものがたくさんあった。

猪木を信じよ―ファンが一番知りたいアントニオ猪木

猪木を信じよ―ファンが一番知りたいアントニオ猪木

 

 

猪木は死ぬか! 超過激なプロレスの終焉

猪木は死ぬか! 超過激なプロレスの終焉

 

「プロレスは、底が丸見えの底なし沼」という名言を残し、

「私にプロレスの裏など説いてくださるな」と暴露ブームの渦中、切実に語った井上氏のことも忘れて欲しくない。

 

それに引き換え、全盛期には自ら「スーパーサラリーマン」と称していたターザン山本がフリーになってからのプロレス本には、語るべき中身が全く無いのが悲しい。

『「金権編集長」ザンゲ録』(2010) 

「金権編集長」 ザンゲ録

「金権編集長」 ザンゲ録

 

とか羊頭狗肉の典型。「売らんかな」のタイトルの割には記録的な価値すら無い。

脱サラ後のあなたには、失望し続けです!とあえて挑発しておこう。

売れる週刊誌の編集能力と、自身の筆力は相関しない?

何か事情があって、存分に書けない縛りがある? 

中途半端なプロレス本、週刊プロレス往時のファンを失望させるような本は、もう読みたくないのですが。

 

以上 ふにやんま