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ふにやんま ー 世界の小所低所からー

http://funiyanma.hatenablog.com/  

『アグネス仮面』そして甦った立花 隆発言への怒り

先にお断りをしておきますが、今回プロレスに興味の無い方には全く面白くないと思われます。では普段は面白いのか?と言われると困るのでやめてくださいね。

 

アグネス仮面』ヒラマツ・ミノル(2002-)全8巻 

アグネス仮面(1) (ビッグコミックス)

アグネス仮面(1) (ビッグコミックス)

 

Kindleコミック 期間限定 無料お試し版からの大人買い、またやってしまいました。今回は8巻完結でしたので、まだ傷は浅かったですが。

平田 満ことスーパー・ストロング・マシン(逆か)を思わせる表紙のマスクに惹かれ、1巻をついついダウンロードしたのが運の尽き。そのまま8巻まで連続購入、一気読みです。

だってですね(既に口調が言い訳くさい)この漫画、

二十数年前、プロレス界は今ほどビジネスライクではありませんでした。

レスラーもお客も、今よりずっといい加減でテキトーで大雑把で大らかで、そして誰もが真剣でした。

の名台詞で始まって、しかもこの台詞で終わるんですよ。憎いでしょう?

もう昭和プロレスファンのハートを鷲掴み、心臓へのアイアンクロー状態です。

帝日プロレス社長、マーベラス・虎嶋(もろアントニオ〇木)の適当で荒っぽいアングル作りが最高。意味不明なネーミング「アグネス仮面」も、虎嶋が「アマゾン仮面」を言い間違えたという脱力設定です。

アントニオ◯木さんの人を舐め切ったいい加減な性格。そして人間離れしたレスリングの強さはプロレス漫画のお約束ですが。

アグネス仮面が無理やりタッグを組まされる、マチルダ仮面の情けなさ。

ギャグあり、かつてのはぐれ国際軍団異種格闘技戦を思わせる懐かしさあり、ホント退屈しません。

下手な奴の技が一番危ない、のプロレス界の格言どおり、帝日プロレスのエースロイヤル金村が頸椎を損傷するシーンなど、背筋が寒くなると共に「プロレスを分かってるねぇ」と頷いてしまいました。

この漫画全体が、昭和プロレスあるある本と言っていいでしょう。楽しく読ませて貰いました。

 

で、頸椎損傷と言えば佐々木健介夫人、北斗 晶さん(闘病頑張ってください)ですね。バラエティで笑顔を振りまく姿からは想像もつかないでしょうが、"デンジャラスクイーン" 北斗 晶はレスラーとして、超が付く一級品でした。

私の選ぶ女子プロレスの歴代№1ベビーフェイスは豊田真奈美、そしてヒールは北斗 晶です。すごいぞ全女。神取 忍はどうした、ダイナマイト関西を忘れるな、いいやダンプだ、俺は尾崎魔弓が好きだった等、皆さんご意見は多々あろうかと思いますが。受け付けません。

カムバック後の長与千種も捨てがたいものの、既にヒール、ベビーフェイスの枠を超えた存在になっていたので選外。許してチコさん。あなたは別格です。

その北斗 晶、20歳の時に試合で頸椎に大怪我をしています。病院のベッドで頭を左右から金属で固定され、半年間全く首が動かないようにしての治療だったとか。若い女性のことですから、さぞ辛かったでしょう。医者と周囲の猛反対(当たり前ですね)を押し切って、そこから復活してのデンジャラスクイーンなのです。

北斗 昌は本当にすごいレスラーでした。

余談:神取 忍=ミスター女子プロレスというネタが一時流行りましたね。

 

そして女子プロレスと言えば、

『プロレス少女伝説』井田真木子(1990) 

プロレス少女伝説 (文春文庫)

プロレス少女伝説 (文春文庫)

 

作者は44歳という若さで早逝されてしまい、残った著作は少ないですが本書は第22回大宅壮一ノンフィクション賞(1991年)を受賞した名作です。

今でこそポピュラーになった「心を折る」という表現が、活字として世に出たのはこの本が最初 なんですよ。

神取 忍へのインタビューの中で、彼女自身の口から発せられており、一般人には極めて斬新な表現だったのでよく覚えています。書評でもよく取り上げられていました。

 

長い連想ゲームでしたが、ここで忘れていた怒りが忽然と甦った訳です。

井田真木子氏の『プロレス少女伝説』大宅壮一ノンフィクション賞を受賞した際、選考委員の一人が立花 隆氏。その選者としての公式コメントを引用します。活字になったものですので、どこを参照しても同じ内容のはずです。

私はプロレスというのは、品性と知性と感性が同時に低レベルにある人だけが熱中できる低劣なゲームだと思っている。そういう世界で何が起きようと、私には全く関心がない。もちろんプロレスの世界にもそれなりの人生模様がさまざまあるだろう。しかし、だからといってどうだというのか。世の大多数の人にとって、そんなことはどうでもいいことである

まだブログもツイッターも無い時代で良かったですね、立花先生。きっと執筆活動はおろか、日常生活に支障が出るくらい大炎上したと思いますよ。いくら偉い先生でも、知らない世界のことに生半可に口を出しちゃいけません。あなたにプロレスの何が分かると言うのです?まして女子プロレスのことなど、何もご存じないでしょう?

中卒で大人の興行の世界に飛び込み、リングに上がることを夢見て必死でトレーニングとシゴキに耐える10代半ばの少女がいたとしましょう。その子の置かれた環境、その子の人生に、東大出の偉い先生がなんら価値を見いだせないからと言って、わざわざ公言する必要がありますか?大人の分別というものは無いのでしょうか。

立花隆なら何を言っても許されるのか!

実際の選考の場では、発言はもっと辛辣だったという噂もありました。立花氏は最後の最後まで授賞に反対されたそうですから。

いかん、また腹が立ってきました。四半世紀 抱えてきた怒り。当時ブログがあれば、絶対に抗議のエントリを書いたのに。昭和プロレスファンはしつこいのですよ、立花先生。先生はとうにお忘れでしょうけれど。

 

立花 隆氏と言えば、感銘を受けた本がすぐにいくつか挙げられます。 

脳死 (中公文庫)

脳死 (中公文庫)

 

  

宇宙からの帰還 (中公文庫)

宇宙からの帰還 (中公文庫)

 

  

田中角栄研究―全記録 (上) (講談社文庫)

田中角栄研究―全記録 (上) (講談社文庫)

 

それだけに『プロレス少女伝説』発言には、怒ると同時にガッカリしましたね。

なんだ、結局人の心の分からない学者さんかと。

受賞された井田真木子氏に対しても、結果的に礼を失した発言になったと思います。『プロレス少女伝説』は、公平に見て優れたノンフィクションですので。

この件で立花氏の著作への評価は変わっていませんが、立花氏個人のことは未だに冷めた気持ちで見てしまう私です。

 

自分で書いておいてなんですが、気分を害したのでアグネス仮面読み直し!

以上 ふにやんま