ふにやんま ー 世界の小所低所からー

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『ネットが味方になるWebマーケティングの授業』

『ネットが味方になるWebマーケティングの授業』(2014)

イケダハヤト・中川淳一郎出口治明・伊藤新之介 

ネットが味方になるWebマーケティングの授業

ネットが味方になるWebマーケティングの授業

 

・WEBマーケティングも仕事に関係ないことはないな

イケダハヤトって名前を最近よく見るな

ということで畑違いの本を読んでみました。

中川淳一郎が、以前読んだウェブはバカと暇人のものの筆者だということはすっかり忘れておりましたが。手帳で調べたら、中川氏の ネットのバカ (新潮新書) も読んでいました。

ウェブはバカと暇人のもの (光文社新書)

ウェブはバカと暇人のもの (光文社新書)

 

フェイスブックツイッターなどのソーシャルメディアが日本でも盛んになって以来、ツイッターユーザーに刺さるつぶやきをしたほうが、予算をかけて出した広告よりも多くの集客ができた、なんてことがよく起こるようになりました。

こうした頭さえ使えばタダでPRできるスキルは、Web担当者やマーケターに限らず、多くのビジネスマンにとって、今後必要性が増すスキルですよね。

今やTVは録画してから観るのが普通。CMはトバされて観てもらえない。オンタイム視聴率の高い、希少性のあるメジャーコンテンツはスポーツ中継ぐらいで、先日のNFLスーパーボウルの60秒CM枠が6億円と聞いてたまげたばかりです。

 

まずは 

第1章 時に炎上しながら毎日のんびりやってます イケダハヤト

から。聞き手は伊藤新之介氏。無記名の発言は全てイケダハヤト氏です。

ソーシャルマーケティングに関して先行者優位はとれていたんですが、僕以上に優勝な人、しかも企業などの組織単位の人々が同じ領域でブログを書き出すと、とてもじゃないけど太刀打ちできないんですね。

企業にコンテンツマーケティングの話をするときに必ず言うんですが、先行者優位をとることは結構簡単なんです。まだあまり出回っていない先取り系のテーマを探してくることは、アンテナを張っておけば簡単なんですが、

そのときのことをことを考えると、起こった事実だけでなく、何か専門的な考察を入れたり、何か独自の意見をもっているライターを先に巻き込んでおいたりしておかないと、予算のあるところにすぐにシェアを奪われて人が来なくなりますね。

ブログのテーマについてちゃんと情熱があるかどうかです。例えばネット販売を行っている企業であれば、恐らくEC関連のブログを始めるわけじゃないですか。そうなったとき、選ばれた編集長はECについて情熱をもっていないとダメですね。常日頃から海外のトレンドをチェックしていたり、その話題であれば一度喋り出すと止まらないような人間です。もっと言えば、ブログ云々を抜きにして、時間を度外視してそういったそういった情報を集められる人です。(中略)

こういった情熱をもっていないと、質の高いブログを維持することは難しいでしょうね。

「顧客獲得のためにこれからコンテンツマーケティングとしてブログを導入しようとしている10~20人規模のベンチャー規模に合わせて」という伊藤氏とのやりとりですので、規模感が定まっている為に発言内容もリアルです。

冠婚葬祭関連の企業のライターチームと話をしていたんですね。そこで神社巡りが好き、という男性がいたんです。休みがあればどこかの神社回っているような人でした。(中略)なので、彼に冠婚葬祭と神社を絡めた記事を書いてくださいと頼んでみたんです。すると喜んで書くんですね。ほとんど苦もなく、しかも短期間で。(中略)とにかく彼らの趣味を何でもいいから把握することです。そうすれば彼らの得意領域と事業を上手く組み合わせられる記事が必ず作れますから。

伊藤 それでいいのであれば、10人規模の企業でも、そのうち2人は無趣味だとして、8人いれば1人がディレクション、残り7人がライターというチームを作り、1人が1週間に1本の記事で毎日ブログを更新できるわけですね。

うん、実践的なアドバイス。チーム編成としては最初はこういった構成が望ましいでしょう。「低予算で実験的な社内編成」に、外部からのアドバイザーを加えると。でも問題は、肝心のコンテンツですよね。

個人的にはソーシャルメディアで瞬間的に広がるバイラル方式よりも、検索でじわじわPVを伸ばすSEO型の記事が、長期的な視点からしていいと思いますね。(中略)こういった記事って、ユーザーが知りたいと思ったときに検索をかけてたどり着くものです。数日間だけ読まれるというものではなく、数カ月、数年単位でユーザーにとって価値のある記事ですよね。(中略)こうした記事をSEOを意識しながら作り続ければ、ロングテールでじわじわとコンバージョンに反映されてきます。

ただし個人的には、それだけでは弱いと思っています。率直に言えば、それって「役に立つだけの記事」なんですよ。

伊藤 ユーザーにしたら、数ある情報記事の中の一つでしかなかったと。確かに「役に立ったなー。ところでこの記事を書いているのは誰だろう」とは必ずしもなりませんね。その「誰だろう」につながるのが独自性だと。

NAVERまとめ」など、優れたまとめ記事も大量に溢れているわけですし、単なる「役に立つ記事」の訴求力はドンドン低くなると考えていいでしょう。(中略)企業が持つビジョンをコンテンツに結びつけてユーザーに訴えかけていく必要があると思いますね。むしろ、それが企業ブログの本質であって、そこからコンバージョンにつなげるのが自然ではないかと思いますね。

このあたりから、個人のブログにも通じるものがありますよね。零細を誇る本ブログも、油断をするとあっと言う間に検索流入で「カレーを辛くするブログ」になってしまいます。それはそれで有り難く嬉しいことなのですが、料理系のビジョンが全くないブログなので、読者を増やす効果は皆無だと分かってきました。とほほ。やはり「独自性」が必要なのね。

イケダハヤト氏の書いたものを過去に読んだことは全く無いのですが、氏が自身について触れた部分を。

伊藤 SEOやバズというよりは、ブランディングに近い話ですね。

イケダ (前略)そこはほとんどの企業がまだできていないと思いますね。というより、それをしてしまうと炎上する恐れが出てしまうので(笑)。

伊藤 炎上ですか?

イケダ 意見を語ると炎上しやすいんですよ。

伊藤 ああ、なるほど(笑)。まさにイケダハヤトさんのブログが体現していますね(笑)。説得力がある。

ここのやりとり面白いですが、

意見を語ると炎上しやすい

というイケダハヤト氏の発言も鋭いですね。おっしゃるとおり。法人がエッジィなコンテンツをWebで発信することの難しさを端的に看破しています。

でも今はソーシャルの時代なので、先に述べたようにSEOも確かに大切で、最低限のSEOは必要条件ですが、それに加えて、この人がこう反応してくれて次にこの人がこう反応して、といったソーシャルな連鎖をイメージできるようになることが重要になりますね。

伊藤  ということは、今のブログの記事の目線としては、より身近な、自分とつながりのあるインフルエンサーソーシャルグラフ上のコミュニティの動きに着目する必要がある訳ですね。

僕の場合は、僕自身がインフルエンサーとしての役割をある程度は出せるので、そうした意識はしやすいですね。自分がリツイートした内容が次のインフルエンサーに繋がったような感覚です。(中略)なかなか経験しないとわからない感覚だと思いますし。同じコンテンツであっても、誰が拾ったかによって大きく結果が異なってくるのがソーシャルメディアですから。

うーん。経験しないとわからないですか。SNSと連動したソーシャルな発信をしていかないと、なかなか量的な拡大は望めないということがおじさんも最近になって分かってきました。でもSNSにはまだ全く手を出していません。だっておじさんだから。

 

僕のブログはどちらかと言えば前者ですね。特定のコミュニティというよりは、複数のコミュニティで議論されるような状態ですね。波及する範囲は結構広いと思います。

伊藤 また、イケダハヤトさんのように複数にまたがると、炎上するリスクも高くなりますよね。

イケダ なりますね(笑)。

伊藤氏の合いの手、なかなか冴えてます。悪意を全く感じさせないので、イケダハヤト氏もバンバン肯定する流れに。噛みあいつつ、二人の会話は弾みます。

伊藤 自分で問題提起をすることで、他の人を議論に巻き込む流れを意識的に作っているということですか?(中略)賛否両論の「否」が圧倒的に多い問題で「賛」を発すると叩かれるけど、一気にPV数が増えるとか。

イケダ それはある程度、意識していますね。これはちょっと歪んだ正義なのかもしれませんが、ブログメディアを立ち上げるときって、マーケター寄りにするかアーティスト寄りにするかの二軸があると思っているんです。マーケター寄りというのは、お客様を啓蒙したり、喜ばせたり、わかりやすい価値をテキストで提供したりするメディアですよね。それに対してアーティスト寄りのメディアっていうのは、賛否両論を巻き起こしたり、パタゴニアのように炎上覚悟で自分の信念を表現すること、「私たちはこう思っていて、あなた方とこう違うんだ」とハッキリ言う姿勢ですね。僕はそういう点で、アーティストを目指しているんですね。「私はこう思う」という新たな価値観を世の中に提供することが、僕のメディアの価値に繋がると思うんです。

異様に長い引用になりましたが、「アーティスト」という単語が唐突にイケダハヤト氏の口から発せられたのではないことを明らかにしておかないと、誤解を生みそうだなと危惧したもので。メディアクリエイターとかハイパーとか、呼称だけでとやかく言われたら気の毒だし。

このやり取り、イケダハヤト氏のブログ運営ノウハウのかなり突っ込んだ部分を引き出せていると思います。そこは称賛に値するのですが、問題は氏が答えた内容ですね。

歪んだ正義の「正義」が、どこにかかるのか何回読んでもよく分かりません。

ブログにおける軋轢、即ち「炎上」を恐れずに、己の信じるところを世に問うことが「正義」だということでしょうか?PV数に繋がることを意識した「正義」というのが、どうも腑に落ちないのですが。打算を孕んだ正義ってあり?ふさわしくない単語ではないのか?という気がしてなりません。

 

次回に続きます。

 

以上 ふにやんま