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ふにやんま ー 世界の小所低所からー

http://funiyanma.hatenablog.com/  

松本隆☓呉田軽穂☓松田聖子 『制服』

音楽 読書

『pen』5/15号 ~いとしの歌謡曲。~

出先で見つけてヒョイと読んだあと、Kindleですぐに保存用に買っちゃいました。電子書籍の雑誌を買ったのは初めてです。

今は古本を探さずとも、電子書籍でバックナンバーが簡単に入手できるからいいですね。雑誌の大判の魅力も捨てがたいのですが。

それというのも、作詞家 松本 隆氏のロングインタビューがあった為。

これは手元に置いておかなアカンやろうと。

もはや大御所と呼ばれる松本隆氏ですが、このかたには特別な思い入れがありまして。

阿久 悠さんや大瀧詠一さんが亡くなられた時に感じた喪失感の中身とは、ちょっと質が違います。

商業的に成功した作詞家であることと、時を越えて古びない詩人であることを両立させた偉大な存在。私にとっては稀代の Lyricist といった感じですね。

 

松本隆インタビュー

作詞家として、

普遍的なラブソングを

書きたかった。

特集の巻頭。これが真っ白な頁の真ん中にポツンと置いてあります。相当かっこいい。ヘッダーのwordも含め、センスいいぞ『pen』! さすが元阪急グループ!(関係ないか)

ちなみに今はTSUTAYAでおなじみ、CCC資本の出版社からの発行ですね。

 

一応、「は?松本 隆?」というかたのため、本誌での氏の紹介から。

日本の大衆音楽史において、最も多くの名曲を書いた作詞家は松本隆である、ということに異論を唱える者はいないだろう。松本がこれまで手がけた楽曲は2000曲以上。松田聖子赤いスイートピー」、太田裕美木綿のハンカチーフ」、近藤真彦「スニーカーぶる~す」、寺尾聡「ルビーの指環」、安田成美「風の谷のナウシカ」、Kinki Kids「硝子の少年」ーーー 代表作に値する楽曲はあまりに多く、枚挙にいとまがない。

オッケー『pen』!分かってるねー。

代表作を絞り込めない。 

ここに松本隆の凄みがあるんですよ。

多作にして、なおかつ一曲一曲の質が高い。

いつまでもイメージが古びず、鮮やかなまま。

こんな作詞家、そうそう現れるものではないでしょう。

 

松本隆さんにとって、歌謡曲とはなんですか?という問いに対して。

謡曲とは国民が愛する歌だよね。70~80年代は、ある巨大なシステムが確立していて、そのシステムが回転している時はビジネスとして成立するんだけど、いまは音楽市場が10分の1くらいにしぼんでしまったから、システムも錆びついてしまった。また新しいシステムが形成されるまで、しばらくはこの過渡期がずっと続くんじゃないかな。

さすが重鎮。端的な状況説明ありがとうございます。おっしゃるとおりかと存じます。

で、ここからがシビレる訳ですよ。

こういう時代だから歌謡曲が評価されているわけではないとぼくは思う。もっとシンプルな話で、70~80年代に僕らがつくっていた歌の質がとても高いから、ずっと聴き続けられているだけの話なんだよ。当時、曲をつくりながらも感じていたよ。『ひょっとしてこれは過剰品質なんじゃないの?』って(笑) 

松本 隆 キターッ!

他の凡百の作詞家ならば「何言ってんだお前」と一笑に付される台詞も、松本隆氏の口から発せられると頷くしかありません。

もうビリビリきますね。電気ウナギを素手で掴んだぐらいのシビレようです。掴みませんが。 

 

「過剰品質」

やはり松本隆氏を始めとする、作り手のほうでもそう思っていたんですね。それが確認出来ただけで、本誌を読んだ甲斐があったというもの。

 

松本 隆氏の最大の功績と輝きは、全盛期の松田聖子に提供した一連の楽曲の中にあると私は思っています。

アイドル全盛時代にあって、当時最高のクリエイトスタッフによって手がけられた楽曲が、彼女に惜しみなく提供されていた事実。奇跡と言っても決して大袈裟だとは思いません。

本誌では中森明菜小泉今日子といった面々も勿論取り上げられていますが、松本 隆 ✖️ 松田聖子という組合せは、やはり別格でした。

 

プロとして手を抜かない

そんな単純な職業意識ではなく、松本 隆氏も、松田聖子のために詩を書くことに手応えがあった、楽しかったんだと思うんですよ。

 

このエントリのタイトルにある『制服』(ご存知の前提で話を進めます。そうでない方はYouTubeで聴いてみてください)

本誌でも多くのかたが、好きな歌謡曲、好きな松田聖子ナンバーとして挙げている名曲ですが、タイトルにさせて貰ったのはそれだけではないんです。

この『制服』、大ヒット曲にしてこれまた名曲の誉れ高い赤いスイートピー』シングル盤のB面だったんですよ。そして2曲とも、作詞:松本 隆、作曲:呉田軽穂松任谷由美)の最強コンビによる作品なんですね。

 

ケチくさい上に貧乏性の私ならば、

これだけの曲をB面にするなんて勿体ない!別の曲をB面にあてて、別にシングルとして出しましょう!

って100%言います。

そのぐらいグレードの高い曲を、惜しげもなくB面で投入してしまう。

しかし。

赤いスイートピー』の次のシングルは、これまた先程の最強コンビによるヒット曲渚のバルコニーなんですよ! 

もう、参ったとしか言いようがないでしょう。確かに『制服』温存する必要ないですわ。どんだけあんた達の楽曲、クオリティ高いねん!と。

過剰品質も極まれり、です。

 

今でも多くの人に大好きな曲として挙げられるB面の『制服』

大ヒット曲のB面という優位性は否定できませんが)

これぞ謡曲黄金時代の象徴ではないかと。

いい歌は、どんな形であれ残る。

そして謡曲の形で、いい歌が溢れるように世に出ていた時代があった。

 

松田聖子さん(急にさん付けですいません。流れ的に)も、アイドルである自分に最高レベルの楽曲が与えられているという自覚があった、それがとても嬉しかった、と後年語っておられました。歌手冥利に尽きるというやつでしょうねえ。

 

ELT/持田香織さんから松田聖子さんへのメッセージ(本誌P.49)より。全文引用できないのが残念です。

赤いスイートピー」のカップリングだった「制服」は、いまでもよく聴き、よく口ずさみます。当時は歌詞の意味まで理解ができないくらいに子どもであったので、その内容の素晴らしさを知るのは、随分と先のことでありましたが、お話の展開に胸がきゅんきゅんとせつなくなり、言葉と音が見せてくれる風景にとてもドキドキとしたものでした。(中略)

大好きな曲たちはいまも色褪せることなく、煌びやかにこちらへとやってきてくれるのです。

以上 ふにやんま

※煌びやか=きらびやか