ふにやんま ー 世界の小所低所からー

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真藤順丈『夜の淵をひと廻り』

真藤順丈(しんどうじゅんじょう)氏をご存知でしょうか?

1977年生まれ。
『地図男』で第3回ダヴィンチ文学賞大賞、『庵堂三兄弟の聖職』で第15回日本ホラー小説大賞『RANK』で第3回ポプラ社小説大賞特別賞、『東京ヴァンパイヤ・ファイナンスで第15回電撃小説大賞銀賞を受賞。
2008年の新人賞4賞総なめの快挙で、一躍名を挙げた実力派作家です。

日本ホラー小説大賞から始まって、4作一気読みしてみましたが、それぞれの全く異なる作風と、完成度の高さに驚愕したものです。
すげ〜!何でも書けるのかよ!

当時のインタビューだと、真藤氏自身も
目指す方向性が定まらないので、取り敢えず頭にあるプロットを全部作品にしてみた、ということだったはず。

すごい新人が現れた!
と興奮しましたね。
『東京ヴァンパイヤ・ファイナンスとか、普通だったらまず読まないライトノベルのレーベルなのですが、とても感心しました。やはりジャンルに貴賎なし。良いものは良いなと。

その後も「しるしなきもの』『墓頭』など、クオリティの高い作品を連発。
私にとって、
失望させられることがない
作家の一人になりました。

そんな真藤氏の最新作
『夜の淵をひと廻り』(2016)

夜の淵をひと廻り

夜の淵をひと廻り


警ら小説とでもいいますか。
交番勤務の巡査が主人公という、なかなか意表を突いた設定ですか、これがなかなかいい。

9話からなる連作形式で、最初は
ちょっと地味なんじやね?と心配になりますが、5話目の『悪の家』からグンと加速。

貴志祐介の名作『黒い家』へのオマージュをそこはかとなく感じさせつつ、ラストは本書お約束のひとひねりで綺麗に着地。
続く『新生』で設定を大きく変えてアクセントをつけた後(やはりこれは書き下ろしでした)、設定を元に戻して『ぼくは猿の王子様』『スターテイル』でホロリとさせる。
随所に散りばめた真藤テイストのファンタジー要素を、伏線まで含めて最後にピシャリと回収する手際には惚れ惚れします。

決して万人受けする作風ではないのですが、少なくとも私は賞賛を惜しみません。では、あらためて。

真藤順丈氏をご存知でしょうか?

以上   ふにやんま