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ふにやんま ー 世界の小所低所からー

http://funiyanma.hatenablog.com/  

『君に友だちはいらない』瀧本哲史

読書
『君に友だちはいらない』瀧本哲史(2013)

君に友だちはいらない

君に友だちはいらない


なかなか刺激的なタイトルですが、まとめるとこんな感じ。

【ポイント】
①夢を語り合うだけの友だちはいらない。
②必要なのは同じ目標の達成に向けて、苦楽を共にすることができる「仲間」
③これからの時代、求められるのはチームアプローチ。
④チームアプローチには、相互補完的に機能し学習するミニマムなメンバー構成と、メンバー個々が持つ良質で重なりの小さな人脈が重要。

筆者の①②についての考え方は、きっと学生には新鮮で、目からウロコの内容だと思います。
''良き友”が欲しければ、探すのではなく創ればいい。これと思う相手を決めて、一緒に本気で働いてみたらいい。本当の自分を探して雑誌や教材の山に埋もれる前に、本当の友達を探して忙しくパーティを駆け回る前に、とりあえず今いる場所で、今の仲間と一緒にいいチームを創って、目の前の仕事に一生懸命に若い打ち込んでみたらどうだろう。
圧倒的な成果がひとりの天才によってなされたと考えるのは後世の人が作った幻想。実際にはチームの力であり、『七人の侍』はその内容も、成り立ちもチームの重要性を象徴している。
アップルの有名な「二人のスティーブ」ではありませんが、世の中を変えるような新しい仕事というのは、常に若い世代のゲリラ的なプロジェクトチームからしか生まれない、と瀧本氏は看破します。
そこには黒澤明監督『七人の侍』のような、チーム内の役割分担が自然発生的に為されているはずだ、と。

これから社会に出る、あるいは出たばかりの若いかたにはこのあたりは是非読んで、じっくり考えて欲しいと思います。


ビジネスのベテラン世代には、下の一文がグッとくるのではないでしょうか。
まさに「ダメな会社あるある」の趣き。
人間は合理的に動いていない組織に長期間属していると、物事をロジカルに考える能力が確実に低下していく。そういう組織に順応すればするほど頭が悪くなり、組織に順応することができなければ精神を病むことになる。順応しきってしまった人は自覚症状を持つことができないまま、言い訳能力と、自己欺瞞力だけが向上していくのである。

さらに今の日本企業をダメにしつつある「ありがちなチーム」を評して。
えてしてそういう組織ほど、外部から他力本願的に有識者を招いて知見を求めたり、ビジネス書で読みかじった「SWOT分析」などの「コンサルタントごっこ」にうつつを抜かす。そもそもマッキンゼーなどのコンサルティング会社で働く人間ならば、SWOT分析などの一般化されたフレームワークは、それだけでは、ほとんどの現場で役に立たないことを知っている。
本ブログでもフレームワークって古いよね?というエントリを書いた事があるのですが、コンサルタントごっこ評には快哉を叫びましたね。完全に同意します。

皆さんの会社(組織)にも、自分の頭で物を考える事が出来ないトンチンカンが跋扈していることと思います。
大丈夫か、日本。

といったように大局的な見地から、若者へのリアルなメッセージを発信し続ける瀧本氏ですが、衝撃のデビュー作『僕は君たちに武器を配りたい』から全著作を読み続けていますと、内容に既視感が出始めてきたのを感じます。

『読書は格闘技』のような新しいチャレンジもされていますが、ちょっと充電されてみては如何かなと。

京都大学客員准教授にしてエンジェル投資家、元は東大法学部大学院助手からマッキンゼー勤務という、アカデミックとビジネスの両方からリアル世界にアプローチを図れる、稀有なキャリアと能力を併せ持つ瀧本氏。

このまま段々詰まらなくなっていくのではなく、それこそ新しい仲間を見つけて『僕は君たちに武器を配りたい』以上のインパクトを与えて欲しいと願う私でした。
若者への頼れる指南役としての、大きな期待を込めまして。

以上  ふにやんま