読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

ふにやんま ー 世界の小所低所からー

http://funiyanma.hatenablog.com/  

『自分を動かす名言』佐藤優

『自分を動かす名言』佐藤優(2016)

佐藤優 選 ― 自分を動かす名言

佐藤優 選 ― 自分を動かす名言

 

我らが優さん、容姿が誰かに似ていると思っていましたが最近分かりました。「マッチ箱の粘菌術師」南方熊楠です。素行の方も...そこはあまり言いますまい。どちらも少し度が過ぎるだけの、純粋な学究の徒ということで。

面白ければ何でもあり

生きてるだけで丸儲け明石家さんま氏の愛娘 ”IMALU” さん命名の由来ですね)

座右の銘とし、名言には全く興味のない私ですが、優さん久々の自分語りが読みたくて購入。書きおろしだし。

何でも知りたい大ファンかっ!

現在、私は4回目の転機を迎えている。慢性腎臓病が進行しているため、人生の残り時間について真面目に考えなくてはならない時期に至っているのだ。

まだ50代半ばとお若いのに腎臓ですか~。お酒も煙草も口にしないと聞きました。暴飲暴食とは縁遠いタイプだと思われますが、生まれつきなのでしょうね。

外交官時代、私は健康にほとんど配慮しなかった。外務省では年に一度、定期健康診断が実施されていたが、私は逃げ回っていた。

ドクター・ストップがかけられても、文字通り命懸けで北方領土問題を解決しようと決意していた。自分の健康については、2~3年全力疾走したあとに考えればいいと思っていた。

やっぱり不摂生してたのね、優さんたら。母上かっ!

ともかく私は2002年5月14日、東京地検特捜部によって逮捕され、その日のうちに小菅の東京拘置所に護送された。翌日に本格的な健康診断があり、採血、採尿によって高血圧と腎臓障害が明らかになる。

拘置所では血圧降下剤と尿酸降下剤を毎日飲むようになった。(中略)512日間の独房生活で体重もだいぶ減った。

飲むヨーグルト飲むよう。すいません、どうしても言いたくて。

鈴木宗男事件に巻き込まれずあのままの調子で働いていたら、ある日突然、腎不全で死んでいただろう。特捜検察に逮捕されたことで、私の寿命は確実に延びたわけだ。

禍福はあざなえる云々と言いますが、さすがにここまでくると神の配剤を連想せざるを得ません。職業作家に転身し、ついには母校、同志社大学神学部の教壇に立つに至った優さん。

「外交官としてはやり切った。やり残したことはない」と語る優さんですから、人生の後半がこうなるのは、予め決められた事だったのでしょう。ある種の特別な人にだけ、運命論というのはあてはまるというのが私の解釈です。

我々(一緒にしちゃダメなかた、すいません)俗人には、そもそも運命と言えるような人生の波風、波形そのものがありませんから。そんな人生も尊いとは思うのですが、無いものは議論しようがないですよね。

◎劇的な運命というのは、神に選ばれたひと握りの者だけに与えられる。

◎それは多くの場合、苦難と苦痛を伴うものであり、単純に神の与えた祝福ではない。

そんな感じで理解しております。私の運命論なんてどうでもよかったですね。長々と申し訳ありません。

自分の知識と経験を次世代に継承することが重要になる。大学院を修了してからもずっと続けている神学研究の成果をまとめなければならない。2014年、同志社大学神学部から神学部名誉教授の称号を授与されたが、これを機会に神学の博士論文を書くとともに、神学部で特別講義を行って私の問題意識を後輩たちに伝えたいと考えている。まず、ナショナリズムキリスト教に関する本格的な講義を行うために、久しぶりにロシア語やドイツ語の専門書と格闘しているところだ。

微塵も動揺を見せず、冷静な優さん。病いが進むにつれて、

◎残された人生を如何に楽しく遊んで暮らすかを考える

◎そもそも後世に残すべき知識や経験が自分にあるとは1mmも思えない

これが俗人の取るべき正しい態度だと思うのですが、生粋の学者にしてリアリストの優さんは違います。時間を大切にするため、ノンフィクションや評論以外の雑文は書かないし、TVにも出ない。他人の2倍や3倍の密度の人生を過ごして平然としている。かくありたいものです。

無理!珍しい生き物レベルで無理っ!

言ってみただけです。

動揺ではないですが、ちびっとだけ優さんが通常ペースを乱していると思われる部分がありました。

私も慢性腎臓病で、2カ月に一度大学病院に通い検査をしているが、腎機能が徐々に低下している。そのデータを見ながら「いつ人工透析になるのか。人工透析になったら余命はどのくらいになるのか」と不安になる。人生の残り時間がどのくらいなのか気になり、元気なうちにやりたい仕事を終えてしまおうと、過労気味になってしまう。

聞きました奥さん? 過労気味になってしまうんですって。全然おたおたしてないし。むしろ前向きだし。私ならこうですね。

「あと何回晩酌ができるのか」と不安になる。呑めるうちに呑んでおこうと、オーバードリンク気味になってしまう。もはや仕事などしない。

本ぐらいは読むかもしれませんが。La Vie En 朗読。さすがに声出しては読まないか。

私の与太話は切り上げて、優さんのかっこいいところで〆てもらいましょう。なんてったって真面目な良書ですから。青春出版社ですよ。

記念日の日付が異なることで、歴史的意味が大きく異なることもある。日本人の常識では、敗戦は玉音放送があった1945年8月15日だ。しかし、ロシアはこの日に特別の歴史的意義を認めない。日本政府代表団が、東京湾に停泊していた米戦艦ミズーリ号の艦上で降伏文書に署名した日を第二次世界大戦終結の日とする。たしかに、国際法的にはこの日に日本と連合国との戦闘状態が終結したので、それなりに筋は通っている。しかし、ソ連軍は8月15日以降、日本軍が武装解除の意思を示したにもかかわらず、満州や千島列島、樺太北方領土で戦闘を続けた。9月2日を対日戦争記念日とすることによって、1945年8月15日から9月2日までのソ連軍の蛮行を正当化しているのだ。

なるほど。さすが優さん、ロシア関連のネタは豊富です(もしかして常識?)さらに感情論や道義論に流されることなく、リアリストぶりを見せてくれる優さん。

すべての国家が認める単一の歴史というものは成立しえない。歴史は本質において物語性を帯びているのだ。もっとも、だからといって架空の歴史をつくり出すことが認められているわけではない。史実として実証できないことを歴史的出来事として強弁してはならない。このような手法で歴史を捏造する国家は、国際社会で信頼されなくなる。自国中心史観の罠に陥らないためには、各国の義務教育教科書に書かれた歴史を勉強し、日本の教科書に書かれている内容との違いを知ることが重要だ。

外交の舞台から身を退いてなお、歴史観を磨いていることが伺える一文。他国の義務教育の教科書なんて、誰も取り寄せて読んだりしないから、自分でまとめたい!とか思っているのではないでしょうか。

想像におののいていたら世話ないですが、やはり優さん恐るべし。やりかねないと思わせるところが優さんの凄さです。

ご本人の中では分かれていないと思いますが、仕事も勉強もほどほどにね。

以上 ふにやんま