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ふにやんま ー 世界の小所低所からー

http://funiyanma.hatenablog.com/  

『勝ち続ける意志力』梅原大吾

『勝ち続ける意志力』梅原大吾(2014)

サブタイトル『世界一プロ・ゲーマーの「仕事術」』にあまり意味はありません。あわよくばビジネス本としても売れないかな、取り上げてもらえないかなという、編集者根性の現れですので、そっち方面では期待しないでくださいね。本書はシンプルに、世界のウメハラを楽しむための本です。

こちらを先に読んでからのほうがはるかに楽しめます。出版順としては逆になりますが、ちきりんとの対話によってウメハラのキャラクターがよく引き出されていますので、予備知識としてマスト。

悩みどころと逃げどころ (小学館新書 ち 3-1)

悩みどころと逃げどころ (小学館新書 ち 3-1)

 

拙エントリでも取り上げたことがあります。 

funiyanma.hatenablog.com

ウメハラがゲーム業界だけでなく、世間からも低く評価されるのは、プロとしての自覚 、プロゲーマーはかくあるべしという問題意識のレベルが極めて高いからでしょう。ゲーム業界の発展のために、トッププロ且つ先駆者である自分は如何にあるべきか。自己顕示欲を感じさせない淡々とした語り口に、ウメハラの美意識が垣間見えます。

たとえを一つ。ソフトバンクファンの私は、ホークスをリーグ、CSと破ったファイターズを日本シリーズでは全力で応援しました。投打ともに広島を圧倒した、素晴らしいチームなのですが、どうにも気に入らない悪癖がひとつ。

いいピッチャーとの対戦で、簡単には打てないとなると、やたらファウルで粘る。しかも苦し紛れにカットするのではなく、チームを挙げて、意図的に、あたうる限り延々とやるんですね。またそれを愚かなアナウンサーや解説者が、頭脳的だとして褒めたりする。ピッチャーに球数を投げさせて、あわよくば四球で出塁しようという作戦ですね!とか。 アホかって。

前に打て。

前にとばせないなら三振しろ。

ルール違反でなければ何をやってもいい。ルールの中で最善を尽くすべき。それはアマチュアの考えです。プロは美しく、潔くなければならない。美意識の問題なので、理解できないかたを理解させようとは全く思いませんが。ウメハラは分かってくれるはず。

プロはそんな勝ち方をしてはいけませんね、と。

プロ棋士の漫画(ちょっと違うか)3月のライオンでも棋譜を汚すという表現が出てきて得心しました。

ウメハラ語録。

僕は、相手の弱点を突くのが好きではない。

「こうすれば勝てるんだけど...」と思う事はある。しかも、相手は気づいていない。けれども楽に勝てる道は選ばず、あえて別の角度から勝負する。

相手の弱点を突くのは野暮だと思うからだ。

弱点を突いて勝つ戦法は、勝負の質を落とすような気さえする。(中略)

だから、弱点を突かず、むしろ相手の長所となる部分に挑みたい。

ねっ? 見苦しい戦い方を避け、真っ向勝負を挑むことがトップランナーの務めだとウメハラは分かっているはず。それが同時に、自分の成長に一番寄与することも。

安易な道、裏技は使わない。

それでは10の強さは手にできるが、そこが行き止まりだ(10とは一般的な努力で到達できる最高点ということだ)。

僕は10の人間に勝つために頑張っている。そんな僕が10では意味がない。だから、時間がかかっても、バカにされても、11、12、13の強さを目指す。

例えば、ある格闘ゲームのあるキャラクターだけが使える便利な技があるとする。すごく性能が良くて、それを使えば強いのは誰の目にも明らかといった技だ。すると、みんなその技を使いたがる。そして、みんな同じプレイになる。あまりにも支配力が強いので、誰がプレイしてもその技に頼らざるを得なくなるのだ。

僕なら、絶対にその技を使わない。

僕の勝ち方にはスタイルがない。スタイルにも陥らないようにしていると言ってもいい。

他人から「ウメハラの良さはここ」と言われると、それをことごとく否定し、指摘されたプレイは極力捨てるようにしてきた。

どんな世界でも、トッププロというのは凄まじいものです。たかがゲームと決めつけるのは勿体ない。私なんかSTREET FIGHTERはおろか、ゲームを操作するコントローラーって言うんですか?あれを生まれてこのかた手にしたことすらない。世界で視聴回数が2,000万回を超えるというウメハラ奇跡の30秒の動画も、死ぬまで見ないと思います。どうせ見てもまったく分からないので。

でもウメハラは好き。何故ならカッコいいから。

なぜ、「勝つ方法」ではなく「勝ち続ける方法」なのか?両者は似て非なるもので、時としては相反するほどに大きな隔たりを見せる。

結論から言えば、勝つことに執着している人間は、勝ち続けることができない

僕の場合、ゲームとはいえ勝負事の世界である以上、世界一になり、そこにい続けるためには無期限で勝ち続けなければならなかった。上り調子の勢いに任せて100回や200回勝つくらいでは、全然足りないのである。

僕は決して無敗ではないし、無謬のチャンピオンでもない。負ける時は完膚なきまでに負けるし、連敗で結果が出ない時期が続くときだってある。ゲームを極めたなんてこれっぽっちも思わなければ、自分は天才だと勘違いすることもなかった。

それでも、僕は「勝ち続けられるか?」という問いに、迷うことなく「YES」と答えることができる。

繰り返します。何故ならカッコいいから。

以上 ふにやんま