読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

ふにやんま ー 世界の小所低所からー

http://funiyanma.hatenablog.com/  

『代償』伊岡 瞬

『代償』伊岡 瞬(2014)  

代償 (角川文庫)

代償 (角川文庫)

 

 

平凡な家庭の小学生、圭輔は、ある事故をきっかけに遠縁の同級生・達也と暮らすことになり、一転不幸な境遇に陥る。寿人という友人を得て苦境を脱し、長じて弁護士となった圭輔に、収監された達也から弁護依頼が舞い込んだ。"私は無実の罪で逮捕されました。どうか、お願いです。かつての友情に免じて、私の弁護士をしていただけないでしょうか"。裁判を弄ぶ達也、追い詰められた圭輔。事件を調べ始めた寿人は、証言の意外な綻びを見つけ、巧妙に仕組まれた罠がときほどいてゆくがー。

2時間ちょっとで読み終わりましたが、疲れている時や落ち込んでいる時には、手を出さない方が無難かも。敵役 安藤達也がキャラ立ち過ぎで、冷酷とか狡猾とか邪悪とか、そういったありふれた表現が生ぬるく感じる程の存在感です。このやろ❎3。

ざっくり言うと、両親を火事で失って、遠縁のどうしようもない家庭(一人息子が安藤達也)に預けられるのが第一部。成年後、弁護士になってから、かつての性根の腐れきった幼馴染 安藤達也に弁護を頼まれるのが第二部です。

良心がぶっ壊れているくせに、自分の手は決して汚さない。他人の心を見透かして、マインドコントロールすることにかけては天賦の才を発揮する。人間の悪意を結晶化したような男、安藤達也。それに輪をかけて腐りきった母親、道子。

嫌ミス系に免疫のないかたには、とてもお勧め出来ないレベルです。

◉主人公 奥山圭輔のキャラが弱い

◉圭輔が弁護を引き受ける動機が不明瞭

◉第二部後半の進行があまりにご都合主義的

といった欠点はありますが、安藤達也のゲスっぷりを堪能するだけでも、存分に楽しめるので総合評価は良しとしましょう。この手のジャンルは、

こんな奴、ホントにおったらたまらんな

と読者に思わせれば、半ば作者の勝ちみたいなものですから。

 

黒い家 (角川ホラー文庫)

黒い家 (角川ホラー文庫)

 

第二部の公判中、展開が二転三転するところなどは、貴志祐介『黒い家』並みのゾワゾワ感があります。

粘着質のサイコパスとでも言いましょうか。そこまでして、人を陥れたいんか!と突っ込みたくなるような、剥き出し見え見えの悪意。

いや〜上手い。悪人が描けるということは、人間が描けるということと同じなんですよね。伊岡氏の著作は初めてですが、これから他の作品を読むのが楽しみです。

余談ですが、これほどアタマがまわる安藤達也が、実社会ではその天分?を全く活かせていないところがいい。悪事にしかその能力を発揮出来ない方が、キャラクター設定としてリアリティがあります。これ、映像化したら面白いのに.....

アワビの肝とか、サザエの尻尾のグルグルした部分(これも肝か)と同じように、お好きな方にしかお勧め出来ない大人の味。

苦いのひとつ、如何ですか?

以上  ふにやんま